単なる休憩や心遣いを超えて、ハーブティーバーは相乗効果を生み、施術との論理的な連続性をつくり出し、追加販売を発展させます。新しい顧客層を引き寄せ、リピート利用を促し、さらに特別で親しみやすいイベントの場となります。さあ、お客様にウェルネスを浸透させる準備はできていますか。
執筆:Laetitia Poncet
美容と健康を支えるハーブティーの基本と抽出方法
ヨーロッパ薬局方によれば、ハーブティーとは、植物由来の物質を煎じる、浸す、または浸漬させることによって、その場で抽出した飲用可能な水性の調合物です。事前に粉砕・刻み・乾燥された一種または複数の植物から成り立ち、ハーブティーは科学、より正確には化学に基づくものです。その有効性を確保するためには、いくつかのルールを守る必要があります。抽出方法(煎じる、浸す、浸漬させる)は植物の種類や部位、顧客のニーズ、自身のオペレーションに応じて選ぶ必要があります。
ハーブティーには3つの基本的な作り方があります。
- 煎じる方法:植物素材に冷水を注ぎ、沸騰するまで加熱します(特に指定がなければ約15〜30分)。
- 浸漬法:植物素材を常温の水に浸し、特に指定がなければ30分ほど置きます。これら2つの方法は、根、根茎(ジンジャーなど)、樹皮に適しています。
- 浸す方法:植物素材に熱湯を注ぎ、特に指定がなければ5〜15分ほど置きます。この方法は、多くの葉や花、繊細な部位に適しています。
心身のリラックスとデトックスを支えるハーブティー活用
これらの飲み物は、フィトケミカル(ビタミン、抗酸化物質、ミネラル、微量元素)を豊富に含むことから、多様な栄養素の優れた供給源となります。しかし植物ごとに特有の効能があるため、施術メニューに合わせて選択する必要があります。また、栄養素の抽出方法(煎じる、浸す、浸漬)は、体内での利用効率を高めるうえで重要な役割を果たします。
さらに、バランスの取れた生活習慣の一環として、植物の種類によっては肝機能を調整し、体のデトックスに寄与することが研究で示されています。ヨーロッパ薬局方の推奨では、1日に250〜500mlの摂取が体の水分補給に役立ち、肝臓や腎臓といった排出器官の働きを助けるとされています。
したがって、ハーブティーは健康維持や若々しさのサポート、肌の美しさに寄与し、痩身プログラムの効果を強化します。例えば、ゴボウを用いたハーブティーは肌の明るさを高め、皮脂分泌を調整する作用があると知られています。日常的にこの飲み物を楽しむことは美容習慣の一つとなります。
また、ウェルネスの観点では、多くの植物がリラックス効果をもたらし、不安や緊張の緩和、集中力の向上、あるいは憂うつの軽減に役立ちます。そのため、美容サロンでの施術プロセスに組み込むことで、身体的な緊張を解きほぐすだけでなく、心理的な安らぎを取り戻すサポートにもつながります。
注意点
すべての植物には抗酸化物質、ミネラル、ビタミンが含まれています。ただし、それらの栄養素がすべて水溶性というわけではありません。例えば、お茶にはビタミンEが含まれていますが、この成分は脂溶性のため、お客様のカップには抽出されません。植物性ミルクやオイルといった脂質を加えた場合にのみ、取り入れることができます。
インスタ映えが生み出す美容サロンの集客効果
湯のたぎるささやき、香り立つ湯気、カップの繊細な響き、心を落ち着ける音楽…。こうした一つひとつの要素が、ハーブティースペースを「インスタ映え」するサロンのシグネチャーへと高めます。そこにはウェルネスの哲学が表現され、SNSを通じて可視化されます。魅了されたお客様は、この特別なひとときをシェアし、最良のアンバサダーとなってくれるのです。
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リピートと信頼を生むハーブティーを取り入れたサロン体験
ブランドおよびInstitut Nohèmの創設者であるNoémie Amisse氏によれば、このような健やかでナチュラル、かつオーガニックなプロダクトは顧客に非常に好意的に受け入れられているといいます。ハーブティースペースは、顧客と施術者との関係を深め、インナーケアとアウターケアを組み合わせることで施術効果を高め、さらに追加販売の強力な手段ともなります。
受付 ―― 氷を溶かす第一歩
Noémie Amisse氏は、来店した顧客をまずハーブティースペースで迎えます。ここで施術者は会話を交わしながら信頼関係を築き、美容やウェルネスに関するニーズを把握し、最初の一杯を通して肌診断のきっかけを作ります。
ハーブティーブランドGingerlyの創設者Aurélie Bachelet氏は、最初の段階で顧客に自らティーを選んでもらうことを推奨しています。この行為が顧客を自身の深層的なニーズにつなげ、施術前からウェルネスへの意識を高めます。こうして自分自身をケアする準備が整い、リラクゼーションをより受け入れやすい理想的な環境が整います。
施術後 ―― 優雅な締めくくり
Institut Nohèmのスタッフは、施術が終わるたびに顧客をハーブティースペースに案内し、施術内容に合わせた一杯を提供します。この時間は、顧客がゆっくりと気持ちを落ち着け、施術のリラックス効果をじっくり味わうためのひとときでもあります。さらに、この瞬間は施術の感想や手応えをヒアリングする大切な機会にもなります。
アンチエイジングとデトックスを支えるハーブティーの可能性
科学的に健康への効果が認められているハーブティーは、肌の美しさや体内の排出機能、デトックスにも役立ちます。いま注目を集める「インナーケアとアウターケア」の時代において、Institut Nohèmの創設者はこの機会を捉え、地元のオーガニック農家と提携して3種類のハーブティーを開発しました。これらの植物ブレンドは、アンチエイジング、デトックス、リラクゼーションといった施術メニューを補完し、まさに「根本からの儀式」といえる存在です。お客様の美容目標を支え、施術効果を高め、自宅でもその効能を持続させる役割を果たします。
顧客体験を広げるハーブティーとイベント活用の可能性
フランスにおけるハーブティー市場は急成長しています(消費者の二人に一人が飲用、オーガニック市場だけで2021年に1億2千万ドル規模)。しかし、サロンにおけるポテンシャルはまだ十分に活用されていません。肌とウェルネスの専門家として、ハーブティーを提案することは理にかなっています。なぜなら、健康志向や「イン&アウト」美容、ホリスティックなウェルネスのトレンドに完全に合致しているからです。
具体的な事例
Noémie Amisse氏は、施術プロトコルと直接結びついたハーブティーを導入しました。例えば、痩身プログラムを補強するデトックスティーや、マッサージ後に提供するリラックスティーです。施術後の一杯をきっかけに、自宅用のプログラム提案へとつなげることで、顧客体験を豊かにしながら追加販売にも結び付けています。この戦略は自然志向で持続的な効果を求める顧客を惹きつけ、リピート利用を強化します。
Gingerlyの創設者にとって、これは単なる販売ではなく「つながり」です。お客様は毎日カップを口にするたび、サロンでの体験を思い起こし、その強い感覚的記憶が再来店の動機となります。
Happy Nine Plantes & Ter’Happyの創設者Séverine Naffre氏は、植物への情熱とウェルネスを融合させ、ハーブショップ、オンラインストア、ハーブティーバー、ウェルネスセンターを創設しました。彼女はハーブティープログラムをウェルネス施術と同程度に販売し、パリ中心部で360度のホリスティックなケアを一度に提供することに成功しています。
ハーブティーを中心としたイベントづくり
一部のサロンはハーブティーの提供方法を刷新し、ワインバーの優雅さを取り入れています。インフュージョンのメニュー表、ワイングラスやカクテルグラスでの提供、ベルベットの椅子や洗練されたカウンターによる上質な雰囲気などです。
また、ハーブティースペースをアフターワークの場として活用し、顧客の満足度とリピートを高める取り組みも見られます。さらに、日常生活への植物の取り入れ方を学ぶワークショップや、季節ごとの限定メニュー(夏のアイスインフュージョンや冬の温かいドリンク)など、多様な展開が可能です。
Séverine Naffre氏は、植物の力を伝えるためにナチュロパスとの2時間のテイスティングセッションを実施しています。さらに、ハーブティーを中心としたアフターワークイベントや、瞑想とインフュージョンを組み合わせたセッションも企画。加えて、彼女はハーブティーバーをモバイル化し、セーヌ川クルーズや企業イベントにまで拡張しています。
つまり「ハーブティーバー」というコンセプトには限界がありません。美容サロンではまだ十分に浸透していませんが、顧客体験を革新し、販売を促進し、記憶に残る瞬間を提供する大きな可能性を秘めています。
オーガニック志向の顧客に応えるハーブティー選定ポイント
オーガニック農法による植物
お茶や一部の繊細な植物は、多くの農薬や殺菌剤などを使った栽培を受けやすく、これらは肌やマイクロバイオーム、健康全般に悪影響を及ぼします。そのため、自然でオーガニックなブランドを選び、生態系を尊重した栽培から得られる植物を使用することが大切です。これによって栄養価の高いハーブティーが実現します。
Aurélie Bachelet氏のアドバイス ―― 投資前に調査を
エコサートやオーガニック認証を受けたパートナーを見つけることが不可欠です。「信頼できる長期的なパートナーシップを築くことが重要」と彼女は述べています。施術メニューに合わせたインフュージョンを提供できるサプライヤーを見つけるためには、詳細なコミュニケーションが必要です。また、輸入原料の分析報告書や品質検査、エコサートのようなエコ農業認証の証明書を確認することも勧めています。これが、確かな品質を保証する唯一の方法です。
バラ売りか?それともティーバッグか?
環境負荷を抑え、廃棄物を減らす観点からは、バラ売りが理想的な選択肢といえます。実際、ティーバッグの工業生産は水や電力の消費量が多く、さらに個別包装による過剰なパッケージングは、リサイクル可能な代替があっても追加的な廃棄物を生み出してしまいます。
しかし、Gingerlyの創設者でありバラ売り推奨派のAurélie Bachelet氏は、ティーバッグ派の顧客層を逃していることに気づきました。ティーバッグは手軽に準備でき、持ち運びやすいため、バッグや職場に持参するのに適しています。その結果、彼女の売上の70%はティーバッグ、30%がバラ売りとなっています。バラ売りは主に夜や週末の利用に選ばれ、ティーバッグは平日のオフィスでの消費に適しているのです。
ティーバッグの課題
便利ではあるものの、ティーバッグはオーガニック志向や健康志向の顧客には好まれない傾向があります。
- 不十分な素材や網目構造により、栄養素の抽出効率が低く、水との接触面が限られてしまう。バラ売りではこの問題は起こりません。
- 接着剤やホチキスの金具から有害物質が溶け出す可能性がある。
- 漂白処理を受けた紙や鉛の痕跡を含む場合があるほか、プラスチック製のものも存在する。
良質なティーバッグを選ぶには
Gingerlyの創設者は、エコロジー、健康、安全性を考慮し、次の点を推奨しています。
- 植物由来の繊維(トウモロコシデンプン、サトウキビなど)を使用したティーバッグを選ぶ。無害で栄養成分の抽出効率が高く、使用後は生分解・堆肥化が可能。
- 接着剤や金具を使わないもの。
- 粉末状ではなく植物片を使用しているもの。粉末は栄養価を失いやすい。
- 添加物を避ける
自然界はすでに豊かな風味を備えており、人工香料や化学的な味付けを加える必要はありません。
Made in Franceとヨーロッパを優先
フランスには300種類以上の芳香・薬用植物(PPAM)が存在し、地域の植物を活用することでローカルの魅力を引き出し、追加販売のチャンスを生み出せます。GMSや薬局市場で注目されていますが、美容サロンにとっても有望な機会です。ただし、ジンジャーやお茶といった必須素材はEU域外からの輸入が必要になる場合もあります。その際は、生物多様性を守り、オーガニック認証を受けた生産者を厳選することが求められます。
美容と健康を左右するハーブティーのための水選び
ハーブティーに欠かせないのが「水」です。ところが、水道水の農薬汚染やカルシウム過多、さらにペットボトル水に含まれるプラスチック微粒子が問題視されています。対策としては以下の方法があります。
- 粘土棒、活性炭、浄水器によるフィルター。ただし、農薬やカルシウムを完全に除去できるわけではありません。
- ガラス瓶入りのミネラルウォーター。これは高級ホテルやスパで導入が進む「プレミアムウォーター」として注目され、ブランドによってはボトルデザインや成分(マグネシウムやナトリウム含有量、アルカリ性など)を顧客のニーズに合わせて選定しています。妊婦、アスリート、消化器系に悩みを抱える人など、それぞれのプロファイルに最適な水が提供可能です。
ハーブティースペースが生む持続的な価値と集客効果
一杯ごとのハーブティーは、美とウェルネスの真の抽出液です。ハーブティースペースはもはやオプションではなく、必然の選択肢です。自然でホリスティックなライフスタイルを求める消費者に応える場であり、施術効果を高める基盤であり、イベントの触媒となって新しい顧客を惹きつけ、常連客を育てる鍵となるのです。