「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【7】 保湿剤プロパンジオールに注力、特許取得も旺盛~岩瀬コスファ(下)

2014.04.17

特集

編集部

岩瀬コスファが市場投入したオリジナル原材料の中で、医薬部外品の有効成分「アルブチン」や新しい糖組成物「トルナール」、紫外線散乱剤など注目される原材料は、数多く見られる。

Zemea select プロパンジオール外観写真こ うした中で現在、同社が標榜する代表的な化粧品原料は、植物由来の糖を発酵しバイオ技術を駆使して得られた植物由来のパーソナルケア原料「ゼメアセレクト プロパンジオール」(写真、化粧品名プロパンジオール、液体)が挙げられる。化学名は1,3-プロパンジオール。デュポン社が製造元で、皮膚に対し無刺激 性、無感作性などが特徴だ。

同社は、デュポン社から「ゼメアセレクトプロパンジオール」の供給を受け角層水分量や毛髪水分量の機能性を持た せて頭髪、ボディ用シャンプー、リンスの保湿剤、感触改良剤、溶剤などに用途を図り製品化した。2012年度にエコサート認証(有機認証)を取得。また、 商品やサービスがイスラム教の戒律を満たしているハラ―ル認証(イスラム認証)とユダヤ教の戒律を満たしているコーシャ認証(ユダヤ認証)も取得済み。

無色透明で水や、エタノールに溶解する植物由来プロパンジオールの角層水分量や毛髪水分量に対する機能性、有効性などのエビデンスについてスキンケア製剤、ヘアケア製剤で評価を行なった。

肌 への効果(角層水分量への影響)を実証する測定試験では、被験者3名に対して両腕前腕内側部の皮膚にプロパンジオールを塗布前、塗布後、5分、15分、 30分、60分の測定条件を設定して肌への効果を調べたところブチレングリコール(BG)10%配合品に比べて約2倍高い保湿効果が認められた(グラ フ)。同時に、塗布後の使用感についても吸湿性の液体で、化粧品の保湿剤に使われているグリセリンやブチレングリコールに比べてべたつきがなくすべすべ 感、さっぱり感を有することが確認された。

保湿剤プロパンジオール_角層水分量変化

毛 髪の保湿性試験では、精製水や多価アルコール10%水溶液に一晩、浸漬した後、温水で洗い乾燥させた毛髪を24時間静置。この毛髪を65度Cで40分加熱 した際に減少した水分の重さを測定(1次蒸散物)した。同時に、180度Cで30分加熱して減少した水分の重さを測定(2次蒸散物)して2次蒸散物含有率 を測定した。その結果、精製水や多価アルコール10%水溶液による毛髪処理方法に比べて2次蒸散物の含有率が高くなり健常者の毛髪の2次蒸散物含有率(約 5%)に近づいたことが判明した。

こうした肌、毛髪の保湿剤としての特性を持つプロパンジオールの保湿実証データを揃えて現在、化粧品各社などに対して処方提案を行っている。

同社の技術開発力は、特許取得にも表れている。2002年以降に出願し、現在までに権利化された特許は「アルブチンを含有する皮膚外用剤」や「紫外線吸収性複合粉体」など6件にのぼる。また、現在、審査中の特許もあり知的所有権(知的財産権)の確立には、極めて意欲的だ。

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岩瀬コスファ株式会社

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