「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【3】 オンリーワン製品ペリセアに期待~旭化成ケミカルズ(下)

2014.04.3

特集

編集部

旭化成ケミカルズがオンリーワン製品の代表挌として位置付けているのが高機能性香粧品原料「ペリセア」。天然の脂肪酸とアミノ酸の一種、グルタミン 酸とリジンを製法して作った乳化剤で、界面活性能力に優れている。このため、傷んだ肌を健康な肌に整えるスキンケア機能と傷んだ髪を修復・保護するヘアケ ア機能の2つの化粧機能性を持つ。2003年に機能性活性剤技術開発部が開発し2006年5月にグレードが29%の水溶液「L-30」を市場投入した。ア ミノ酸を原料とした「ペリセア」は「ジラウロイグルタミン酸リシンNa」の名称で表示されている。

「ペリセア」は、グルタミン酸、リジン、脂肪酸と複数のアミノ酸(ペプチド)などから成る「双子型(ジェミニ型) 両親媒性型化合物」をリジンで連結した構造(界面活性を与える分子内の複数の疎水基と親水基を双子型の構造に結合)を成す新素材。

従 来のモノマーの機能の延長線上では成し得ない水に対して親和性の強い「親水性の保持」と水に対して親和性が低い「疎水性」の相互作用の強化というトレード オフの関係を解消。また、界面での活性能について表面張力の測定法「ウイルヘルミ法」から算出した品質試験(臨界ミセル濃度)により評価したところ、ジラ ウロイルグルタミン酸Naが0.5%に対して、ペリセアは50倍少ない0.010で、分子の会合体(ミセル)を形成することを確認し、界面活性能の高さ実 証した。これによりわずか0.03%の低濃度で乳化機能を発現することに加えて高級アルコールに代表される固形物の乳化を可能とするなど一般的な両親媒性 物質よりも優れた機能を有することに繋げた。

同社は、このジェミニ型(双子型) 両親媒性物質として結合させた新素材開発によって化粧品に配合できる化粧機能性と、1分間程度の短時間で毛髪内部に浸透して毛髪表面をコーティングするヘアケア機能(写真)を実現した。

旭化成ケミカルズ
これまでスキンケア化粧品は、保湿性を持つ素材を配合することで、角層の水分量を保持していた。しかし、セラミドに代表されるバリア改善機能を持つ原料 は、水・油のいずれにもほとんど溶けないため、配合しづらいこと。また、従来の毛髪補修原料は、毛髪表面を単にコーティングするだけの機能や内部浸透する 材料でも浸透に非常に時間を要するなどの課題があった。こうした課題をジェミニ型(双子型) 両親媒性物質として結合させた新素材開発によって解決し、化粧機能性実現に道を拓いた。

同社は、ペリセアをオンリーワン製品として引き続き事業拡大を図って行くほか新たなペリセアの機能創出に力を入れて取り組む方針。

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