更年期を乗り切るには40歳前から準備を

最新商品

2015.09.15

編集部

DSCF7077日本中医学会(理事長 酒谷薫氏)の第5回学術総会が12日・13日、都内で開催され、一般公開講演「更年期をイキイキ生きるための中医学」において、上海中医薬大学日本校 客員教授の高橋楊子氏が、中医学の観点から更年期障害の予防法や解決策について講演した。

更年期には、内分泌環境の変化と、社会的・心理的ストレスがあいまって、自律神経中枢の失調を招くことにより、さまざまな不定愁訴が現れやすくなる。中医学的には、「腎」「脾」「肝」の働きと深く関係し、40歳前後からの腎虚、肝鬱、脾虚は、更年期障害を引き起こす主な原因となる。

また、女性は、「血を以って身体の本とする」と言われ、妊娠や出産、不養生などにより、40歳前後から血不足(血虚)、血液が滞る(瘀血)状態になりやすく、更年期障害を重くする要因になるという。そこで、「40歳になる前から補腎、疏肝、健脾、養血、活血を行い、更年期障害を予防しましょう」(高橋氏)と呼びかけた。

まず食養生の原則として、「虚証」(だるい、虚弱体質など)と「実証」(イライラ、熱が高いなど)、「寒証」(冷え性など)と「熱証」(熱がりなど)をそれぞれ見分けること、体質や症状の違いによって治療法を選択することを挙げた。

その上で、足腰がだるくホットフラッシュなどの症状がある「腎虚」タイプには、黒豆、えび、うなぎ、しいたけなどの食材が良く、さらに「腎陰虚」タイプには豆乳、白きくらげなど、「腎陽虚」タイプにはシナモン、にんにくなどを加えることを勧めた。

たちくらみや肌のカサカサなどの症状が見られる「血虚」タイプの人は、レバー、ほうれん草、金針菜などが良く、生理周期が乱れたり、PMS(月経前症候群)などの症状が現れる「肝鬱」タイプには春菊、ミツバ、セリ、セロリなどがお勧め。

経血の色が黒っぽく血塊が多い、顔と唇が暗いなどの症状が見られる「瘀血」タイプにはナス、黒きくらげ、生姜、にんにくなどが、食欲がない、胃もたれ、四肢がだるなどの症状が現れる「脾虚」タイプには長いも、じゃがいも、ハトムギ、かぼちゃなどが良いとした。

食だけに限らず、心の持ち方の重要性も強調。「家事も仕事も心に余裕を持って取り組んでほしい」(高橋氏)とし、リラックスできれば気の巡りが良くなり、更年期の症状を軽くできるという。

最後に、更年期を乗り切る秘訣として、「暴飲暴食や冷たいものを避けて、体質に合った食材を摂る」「早寝・早起きによる規則正しい生活」「何事も余裕を持って行う」「趣味や適度な運動で気分転換を図る」「つらい時は専門家に相談する」「更年期は第2の人生の始まりなので明るく前向きになる」ことを挙げた。

参考リンク
日本中医学会

#

↑