【連載】小さな泡“ファインバブル〟の秘めたるパワー【1】美容・化粧品業界の新たな成長の糧として期待膨らむ
2015.11.6
編集部
ファインバブル(マイクロ・ナノバブル=写真)と呼ばれる微細な気泡を活用した製品やサービスを提供する新しいビジネスが勃興してきた。ファインバブルは、液体や固体の中に存在しているナノメートルサイズの微細な気泡を指す。気泡の直径10億分の1mという、ナノサイズの小さな泡が身体の洗浄効果、食品機能の改善、半導体製造プロセスの効率化、農作物や養殖魚の成長促進など幅広い分野で用途が開けるなど一躍、脚光を浴びる存在として浮上している。美容・化粧品業界においてもファインバブルの新しい用途開発を進めることで、需要創出と成長軌道に繋がる期待が高い。
ファインバブルは
①直径が50μm以下の超微細径をしており、目視で視認できない
②気泡が長期間、液中に存在する
③気泡が電荷を帯びて気泡内部が超高圧状態になる
などこれまでの気泡にはない特徴を持つ。
ファインバブルを発生させる方法は、薬品を使う方法と加圧溶解法、水と気体を攪拌する液2相流旋回法の3つの方法がある。
薬品を使った方法は、軽石状のガラクトース(糖類)を水などに溶解したとき、結晶の隙間から気泡が析出する現象を利用してマイクロバブルを生成する方法。加圧溶解法は、圧力に比例して溶解することで、気体の量も増加させる気泡方法。発生した気泡を取り出しながら、連続的にマイクロバブルを発生させるため、発生装置にポンプを利用する。水と気体を攪拌する液2相流旋回法は、2つのタイプがある。ひとつは、ポンプを利用して水流を起こし、回転駆動部を利用して渦流を発生させる方法。もうひとつのタイプは、シャフトに付けたプロペラで、水と気体を攪拌するタイプのもの。このタイプは、直接、気液を混合させるため、水流が大きく効率的にマイクロバブルを発生させることが可能。また、マイクロバブルをリアルタイムに計測できる計測技術が開発されている。気泡粒径が数ミクロン以上を対象とした計測には、レーザー光遮断方式のパーティクルカウンターを利用して精度良く分布を調べることが可能となっている。
この小さな泡のパワーを活用して新たな産業を創出しようと産学連携で社団法人「ファインバブル産業界」(FBIA)を設立(2012年)。今年9月現在、資生堂、IDEC、パナソニック、キューピーなど民間企業34社と慶応大学など24大学の計58社がファインバブルの国際標準化(グローバルスタンダード)に向けて基本規格や製造技術、計測方法、認証、応用技術、評価技術などの確立に向けた取り組みを活発化させている。日本発ファインバブルが世界の技術標準となれば国内外市場を大きく席巻することになり期待は膨らむ。
一方、ここへきてFBIA加盟の企業が主体となってファインバブル発生法や測定法などの技術を取り入れた発生装置、測定装置を実用化して市場に投入を始めている。しかし、潜在需要の大きさの半面、どのようなニーズやシーズがあるか、用途面で手探りの状態にある。