【連載】化粧品各社のイノベーション研究【24】大塚製薬③ ~化粧品分野に新規参入、男性化粧品ウル・オス韓国で販売~
2016.05.19
編集部
大塚製薬の化粧品(健粧品)の開発、製造、販売(海外含む)などの化粧品事業については、ニュートラシューティカルズ事業部傘下のコスメディクス事業部が担当している。
ニュートラシューティカルズとは、nutrition(栄養)とpharmaceuticals(医薬品)の造語。ニュートラシューティカルズ商品には、同社を代表するオロナミンCやポカリスエットなどの商品がある。
コスメディクス事業部が手掛ける化粧品事業で最初に市場に投入した化粧品は、2005年1月に「エナジーシグナルAMP」(厚労省から医薬部外品認可)を配合した女性用化粧品「インナーシグナル」を52の百貨店で販売した。しかし、「インナーシグナル」については、販売戦略の見直しを行い、2010年に百貨店販売から通販専門に切り替えた。
2008年には、ミドルエイジ層向け男性用化粧品「ウル・オス」(=写真)を市場に投入し、男性化粧品市場に一石を投じた。
男性用化粧品「ウル・オス」は、ミドルエイジ層の男性向けに開発したもの。保湿、日やけ止め、洗浄、全身ふき取りシート、毛髪・頭皮ケアと徐々にラインアップを拡充した。
当初、1万6千店のドラッグストア中心に販売したが、この数年間で、スーパーやコンビニでも販売を開始。また、国内、男性用化粧市場を独占しているライバル企業を視野に据えて、この3~4年間でドラッグストアでの販売を2万店に拡大した。
現在では、7種類15製品を販売し、頭のてっぺんから足のつま先までをケアする、同社を代表する全身トータルスキンケアブランドに成長している。
ウル・オスの海外展開も強化した。同社は、化粧品事業で初の海外進出を果たし、2012年3月に「ウル・オス」7品目を韓国男性化粧品市場に投入した。医薬品の製造・販売、輸出事業を行う現地法人「韓国大塚製薬」(6ヵ所の販売拠点と1ヵ所の生産工場保有)が、韓国内の大規模スーパーマーケット(GMS)を中心に化粧品販売を行っている。
同社では「韓国人男性の美容意識が高く、日本に比べて化粧水や乳液を重ねづけしている人が多い。ウル・オスは、1本で全身に使える利便性が特徴。仕事などで忙しい30代以降の男性をターゲットに日本と同じ価格帯で販売している」という。進出して4年を経過した現在、商品の訴求力が浸透し、先行きの需要に明るさが見えてきた状況にある。
同社は、韓国を足掛かりに、今後、海外展開を加速する考えで、韓国大塚製薬と緊密な連携を図りながらコスメディクス事業の世界戦略を構築する方針。当面、コスメディクス事業の売上規模については、2015年度までに2倍程度に引き上げる計画。