【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【14】ウエルシーライフラボ② ~無添加技術を生かした開発とネットワーク構築に期待~

2016.09.7

特集

編集部

ウエルシーライフラボが独自に開発したベジリアブレンドローションは、専門家に原料の選定や処方設計についてアドバイスを受けて商品化した。しかし、防腐剤や界面活性剤等が入っていなくても常温で保存できる方法として、濃縮した成分と水を二つに分けるという方法を編み出し、防腐剤が入っていなくても保存期間を延ばす事につなげた。こうした独創的な発想がベンチャーとしての卓越した技といえるだろう。

一方、地元の企業、銀行などと提携して協働開発(コラボ)した相手先ブランドによる設計・製造のODM化粧品開発にも力を入れている。特に、地元特産品の機能を見出して付加価値を与えたコラボ化粧品の開発は、地域振興、地域活性化につながることから期待が高い。

ウエルシーライフラボ「泡洗顔料」同社がこれまで開発した代表的なコラボ化粧品は「マカロンクレイ泡洗顔料」(写真)や「UVホワイトジュレ」、「アロマローション」などがある。

同洗顔料は、地場産品の鹿沼土から生まれたクレイミネラルを配合している。多孔質構造を成すクレイミネラルは、中空ボール状で微細な穴が開いている多孔質構造を成す粘土鉱物で「アロファンコ」と呼ばれている。消臭効果やスキンケア効果があり、余分な油や匂いの原因物質を吸着する特性があることが指摘されている。

同社は、鹿沼土の加工業者とコラボを組んで開発し、2013年8月に市場投入。2014年8月には、同泡洗顔料が県の販路開拓支援事業に推奨されて販売支援を受けた。また、2015年6月に地元の幼稚園及び個人とコラボを組んで、「UVホワイトジュレ」と鹿沼土から抽出した保湿剤を配合したアウトドア用「アロマローション」の2商品を協働開発し、ネット通販している。
UVホワイトジュレは、一部の皮膚科クリニックでも採用されている。さらに、地元観光農家や銀行とコラボしてあぶら取り紙を協働開発し、販促ツールや観光地で土産品として販売されている。

こうした同社の地場産品の活用や地元の事業者とコラボを組んで化粧品の開発に取り組んでいることなどを評価して、県が定めたフロンティア企業に認定(2014年6月)している。

だが、現実のビジネスにおいて無添加化粧品の知名度は、必ずしも高いとは言えない。同社の強みでもある無添加技術や地場産品活用によるODM開発をさらに推進し合わせて販促を強化することで、ビジネスが伸長する余地は大きい。また、販売網を持つ企業との提携や無添加化粧品に共鳴するネットワークつくりなどを促進することも重要な戦略となる。地域に根差したベンチャーとしての期待は高い。

 

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