【連載】大手化粧品会社の研究㉔加美乃素本舗の会社研究 ~スキンケア化粧品強化、近大と共同開発の美容液販売~

2018.05.24

特集

編集部

加美乃素本舗は、国内で初めて養毛剤を販売したパイオニア企業。同社は1932年に養毛剤を販売して、今年(2018年)で86年を迎えた。ここへきて100年ブランド企業を目指し、より幅広い顧客層のニーズに応えるため、スキンケア化粧品の開発・販売に力を入れて取り組む。

化粧品の第一弾として「ルイキャラット美容液」(写真)を2018年3月に通販市場に投入し、販売を始めた。
同美容液は、近畿大学薬学部と産学連携によって共同開発したもの。近大が養殖するマグロのコラーゲン「フルレングスコラーゲン」を初めて配合した美容液。
「フルレングスコラーゲン」は、近畿大学薬学部の研究によって保水力を高めるために最適な方法で抽出したコラーゲンで、マグロ1尾(約40kg)からたった100g程度しか抽出できない。
加美乃素本舗が長年培ってきた「フルレングスコラーゲン」の技術力に加え、肌の保護に優れた「天然のヒト型セラミド」と優れたうるおい成分である「天然ヒアルロン酸ブレンド」の2つの美容保湿成分を配合したことで、独自の高保湿処方を実現した。
「ルイキャラット美容液」に配合された「フルレングスコラーゲン」は、近大養殖マグロの皮に含まれるI型コラーゲン(三本鎖の繊維状構造)を抽出したもの。
I型コラーゲンは、保水効果が高く化粧品材料に使用されることが多い。しかし、化粧品に用いるには、水溶性が低いという欠点がある。近畿大学薬学部は、魚皮由来コラーゲンを特定の条件で抽出すると非常に水溶性が高く、しかもI型コラーゲンに比べて保水効果に優れた緩和構造を持つ「フルレングスコラーゲン」が得られることを発見した。

「ルイキャラット美容液」は、ターゲットとして40~50代の女性に定め、客層を広げる狙い。ネット販売中心に3年間で3億円の売り上げを目指す計画。
同社は、美容液の販売を皮切りに今後、基礎化粧品を取りそろえたシリーズ化を図り化粧品事業の強化に努めていく。年内をめどに化粧水を開発してネット販売する方針。

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