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乳がん治療後のクオリティライフの比較研究—ホルモン治療と化学治療

フランスのがん治療センター・ギュスターブ・ルシーは、8日発表した「Annals of Oncology(腫瘍学年報)」で、 乳がんに侵された女性のクオリティ ・オブ・ ライフ(生活の質)にホルモン療法は化学療法より大きな影響を与えるという研究結果を明らかにした。 従来の一般理解に反し、乳がんに高い効果を有するホルモン療法が、とりわけ閉経を迎えた女性に対してより強く長期的なインパクトをもたらしうること、化学療法のマイナス影響は前者に比すとより過渡的であることが明らかにされた。

乳がんの腫瘍学者であり、ギュスターブ・ルシーの「癌腫学における新治療ターゲットの特定」研究部( (Inserm/パリ・シュッド大学/ギュスターブ・ルシー)の研究員でもあるイネス・ヴァズ=ルイス医師のもとでコホート研究が進められた。 研究者は、診断時、1年後、そして2年後にわたって4262名の乳がん患者(ステージ1~3)のクオリティ ・オブ・ ライフを測定。調査に参加した患者の治療には手術と、それぞれに化学療法と放射線療法が組み合わされた。

研究チームはあらゆるタイプのがん患者に用いられるクオリティ ・オブ・ ライフ測定ツール(EORTC QLQ-C30)と、乳がん患者に用いられるクオリティ ・オブ・ ライフ測定ツール(QLQ-BR23)を連合して測定した。この結果、研究対象とされた患者全般において、診断2年後に全体的なクオリティ ・オブ・ ライフの悪化が観察された。この悪化はホルモン療法を受けた患者において多く見られ、なかでも閉経後の患者に目立って観察された。化学療法のインパクトは閉経前の患者に多く、特に認知機能の低下となって表れた。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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ヴァレリー・康子

顧問記者(国際ビジネス、マーケティング)

Yasuko Valery/早稲田大学大学院卒。英インデペンデント新聞社東京支局オフィスマネージャーを経て、日本経済新聞社ロサンゼルス支局で米国西海岸の流通、産業分野を専門に記者経験を積む。本紙では主に、米国欧州の海外メーカー、ブランドの動向、海外市場の動向、新規ビジネスモデルなどを担当。現在はロンドンに在住

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