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⑱リップケア技術、花王、艶評価技術確立(下)

花王株式会社(東京都中央区)のメイクアップ研究所は、日本人女性における口もと形状の加齢変化について研究した。その結果、年齢を重ねるにしたがって日常的に唇とよんでいる赤唇部が薄くなるとともに、鼻の下から唇にかけての皮膚部(白唇部)が長く丸みを帯びてくることを定量的に確認した。

研究は、日本人女性の口もと形状の年代間比較を行った。16~78歳の日本人女性139名の顔を正面および側面から撮影し、写真画像から唇とその周辺の皮膚部それぞれの部位を計測した。
測定部位は、唇形状の変化について上唇の縦幅、下唇の縦幅、唇全体の縦幅はいずれも加齢とともに狭くなった。一方、唇の横幅に関しては、加齢とともに横に広がることや下唇については、側面からの膨らみが減少することを確認した。 また、唇周辺の皮膚(白唇部)の変化については、白唇部(鼻の下)が、加齢とともに長くなることが明らかとなった。さらに、白唇部のそり幅について若齢者では、白唇部が反り返っている人が多いものの、加齢とともに白唇部は丸みを帯びていくことが明らかになった。

唇周辺の皮膚部の年代比較については、内部組織の変化、筋肉下垂等の影響が40代ごろから加齢に伴って現れるとしている。
一連の検討で、経験的には知られていながら定量的データの少なかった日本人女性の加齢による口もとの変化が、唇だけでなくその周囲の形状も含めて明らかにした点で注目される。

一方、同社は、口紅の質感を表現する指標「パール感」「グロス感」がもたらすツヤ評価技術の開発を行った。光沢知覚で用いられているひずみ(Skewness)とツヤの相関を評価したところ,グロス感の強い口紅のツヤとひずみとの相関がある一方で,パール感の強い口紅のツヤは、ひずみとの相関が弱いことが判明した。
新たな口紅のツヤ評価技術を検証するため,パール感,グロス感およびマット方向に質感を強調した口紅を用いてひずみおよびコントラストとツヤの関係を評価した。
評価の結果,ひずみおよびコントラストは、パール感,グロス感口紅のツヤの評価指標として有効であることを証明でき,これら2つの指標を用いたデータ解析手法「重回帰式」によって相関係数の精度によってツヤを推定できることを解明した。

日本人女性における口もとの形状変化を定量的にとらえた研究はほとんどなかったが、口もとの形状に焦点を当て唇(赤唇部)とその周辺の皮膚部(白唇部)の加齢変化を定量的に解析したものとして注目される。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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