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㉒五洲薬品(下)~化粧品メーカーへの転換羨望~

五洲薬品は、先行きの化粧品開発について海洋深層水の効能・効果に期待する。同社は海洋深層水について傷を治すとの観点から、にきびにも有効な自然派化粧品として展開する意向。海洋深層水の「しみない」、「傷口を洗い流してくれる」、「回復を早める」などこの3要素は、非常に有能であると捉えている。

一般的に、化粧水の大半は、精製水でできている。「この精製水を等張液(細胞などと浸透圧が等しい溶液)にすることで、配合する有効成分の効き方が変わってくる」と説く。
同社は、これまで美容と健康に向けた化粧品開発の基本的考えとして「オールナチュラル」の商品にこだわってきた。引き続き、生体内のたんぱく質や糖、ペプチドなどを網羅的に解析する「オミックス解析」を行って、海洋深層水を活用した自然派化粧品の実用化を目指す方針。

同社は1946年6月に創業、翌47年8月に法人化した。今年6月で創立74年を迎えた。社員約130名(2019年3月現在)、売上高約30億円(同)の中小企業とはいえ、入浴剤を主体に化粧水、ボディソープ、医薬品など幅広い商品を開発し、製造・販売(通販)している。業績の大部分は、入浴剤で占める見込み。

ところで同社が海洋深層水の研究開発に本格的に着手したのが1996年。国内初の多段式海水分離技術の実用化に成功するとともに海洋深層水に含まれるアミノ酸の一種「ギャバ」(GABA)に注目し、機能性食品の製造と商品化について特許を取得した。
現在、同社の事業は、取扱商品別に医薬品・介護品事業、医薬部外品・化粧品事業、ミネラルウォ-ター事業、機能性食品・飲料事業、OEM事業、海洋深層水関連事業等からなる。この中で化粧料を取り扱っているのが化粧品のOEMを含めて化粧品事業が担当している。

ところで、同社が化粧品の製造を開始したのは1981年で、業界団体の西日本化粧品工業連合会に加盟して化粧品事業の体裁を整えた。しかし、現在でも化粧料として化粧水、洗顔料など種類、品目が限られるなど新規化粧品の開発・販売が羨望されている。
化粧品の販売を含めた営業業務については、自社製品を小売りに卸販売する「流通担当」と企業から依頼されて製品開発を行う「プライベートブランド担当」に分かれている。
今後、化粧品メーカーとして離陸するためには、ユーザニーズを反映した高機能化粧品を新規開発し、売れる仕組みづくりを具現化して化粧品メーカーとしての地歩を固めながら成長軌道に乗せることが期待される。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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