マインドフルネスはウェルネスの世界で注目を集めている。しかし、これは一体何なのか。その利点とは。我々Les Nouvelles Esthétiquesは、顔ヨガの専門家であるシルヴィ・ルフラン氏とともに、そのポイントを解説する。
フランス人はまだ感情的なウェルビーイングに対する意識が低い。しかし、これは変わりつつある。ウェルビーイングは身体だけでなく、精神にも関係していることが、ますます認識されるようになっている。瞑想、ヨガ、音浴などの活動が、ますます多くの支持を集めている。しかし、これらは決して新しいものではない。これらの活動は、実際には何千年もの間、いくつかの国々で行われていた。だがそれらが一般的となった現在では、限られた人々だけのものではなくなっている。現代社会の私たちの生活スタイルでは、リラックスを意識することが必要不可欠だ。あちこちで刺激が溢れ、ストレスが溜まりやすい。こうしたストレスを発散する方法の一つが、ビューティーサロンやスパでのセルフケアだ。最近では、マインドフルネスについて、耳にすることが多くなってきている。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスは決して難しいものではない。それは意図的に、ジャッジすることなく、すべての意識を今この瞬間に向けることである。その効果は多岐にわたり、2024年8月22日に発表された『British Journal of Health Psychology(イギリス健康心理学雑誌)』に掲載された研究によれば、1日たった10分の実践で、ストレスやうつ病に対抗できると報告されている。科学雑誌『The Conversation』の記事によると、マインドフルネスは次のような効果をもたらすとされている。幸福感の最大化、ストレスのより良いマネジメントと、認知機能の改善の可能性だ。現代の忙しい生活の中で非常に役立つ方法だろう!
日常生活におけるマインドフルネス
日常生活における「マインドフルネス」とは、身体とのつながりを保つことだ。顔ヨガの専門家であるシルヴィ・ルフラン氏は「日常生活の中では、マインドフルネスを忘れてしまうことがありますが、練習を続けることで、ヨガのクラスやマッサージ施術中でなくても、簡単にマインドフルな状態に戻ることができるようになります」と述べている。例えば、呼吸法を取り入れた心臓コヒーレンスの実践がある。この呼吸法は、1日3回(朝・昼・晩)、1分間に6回の呼吸を5分間行うことが推奨されている。「これだけで、神経系において1日中バランスの取れた状態を保つことができます」と彼女は言う。
では、完全にマインドフルに生きることは可能だろうか?答えはやや否定的である。マインドフルネスは、少しずつ実践していくものだ。「例えば、美容においては、クリームを塗る時にマインドフルネスを実践することができます。また、水を飲むときにも感覚に注意を向けてみましょう。そして少しずつ、マインドフルな瞬間が増えていきます。しかし、運転中など、実践が難しい場面もあります。そういったときにマインドフルネスを意識してしまうと、瞑想状態に入ってしまい危険ですので、運転に集中してくださいね」と彼女は説明する。マインドフルネスは、少しずつ取り入れながら、自己と向き合う特別な瞬間や他者との時間の中で実践されるべき状態である。
肌への効果
心の状態が整えば、肌質も改善すると言われている。この仕組みはどのようなものか?シルヴィ・ルフラン氏は、すべては呼吸の仕方に関係していると説明する。「マインドフルな状態になると、呼吸も自動的に調和します。呼吸はより深くなり、胸式呼吸から腹式呼吸に移行します。この呼吸は神経系をリラックスさせ、ストレスを引き起こす交感神経ではなく、リラックスしたり、安眠を促したりする副交感神経を優位に導きます」と語る。皮膚も臓器であり、呼吸しているということを思い出そう。
「私たちの肌質は、実は呼吸の質と非常に密接に関係しています。これを教えてくれるのが、東洋医学です。この医学は、肺、大腸、そして皮膚は密接に関係しているとしています」と彼女は付け加えた。
「もし私たちの呼吸が浅ければ、体は十分に酸素を取り込めず、肌の呼吸能力にも影響が出て、肌つやが失われることになります。残念ながら、現代社会では正しい呼吸法を学ぶことが少ないです。呼吸は速く浅く、途切れ途切れになりがちです。山や海に行くと、呼吸が落ち着き、肌が輝いていることが実感できるでしょう」とシルヴィ・ルフラン氏は語る。
メリットは無限大
リラックスした状態にあると、自然と顔の筋肉もリラックスしやすくなる。これはサロンでお客様に説明するべきポイントだ。「表情じわなど、多くの顔の問題は筋肉の収縮によって引き起こされるということを覚えておくべきです」と彼女は説明する。マインドフルネスは、アンチエイジングとしても活用できる。その作用は、ボトックスと似ていると言えるかもしれない。表情じわを引き起こす筋肉の収縮を抑えることができるのだ。「最終的に、マインドフルネスにより、深い呼吸と神経系のリラックスが促進されることで、組織の再生に必要なリソースがより利用可能になり、顔の老化の大きな要因である筋肉のこわばりも減少することになります」とインタビューを通じて説明している。
マインドフルなエステティシャンは、施術の効果を倍増させる
また、エステティシャンが施術を行う際の心の状態も、その施術の質に影響を与える。「自分の心の状態は、周りの人たちにも伝わります。もし施術者がストレスを感じ、呼吸が落ち着いていない場合、お客様はそれを感じ取ってしまいます。逆に、リラックスしてゆっくり深く呼吸しているエステティシャンと接していると、お客様もリラックスしやすくなるでしょう」とルフラン氏は詳しく説明する。
マインドフルに施術をすれば、自然にお客様もマインドフルになるのだ。エステティシャンは施術前に、お客様に深く呼吸するようアドバイスをするのも良いだろう。ただし、「エステティシャン自身がこのメソッドに慣れていることが大切です。もし自分には合わないと感じているのなら、無理にアドバイスしない方が良いでしょう。呼吸法を使わなくても、お客様に質の高い施術を提供することは十分に可能です」とルフラン氏は述べている。「これは自身で実践できて初めて、他の人と共有するものです。もし自分がこのアプローチに慣れていないのであれば、その概念を施術に取り入れることはできません」と付け加えた。これは、施術者自身がマインドフルネスを体現するというアプローチに基づいている。
お客様に常にマインドフルな呼吸を意識してもらうのは簡単なことではないが、脱毛のような、時に痛みを伴う施術をより快適に乗り切ることに繋がる。「テープをはがすときに、お客様に呼吸を促すのは良いでしょう。息を吐くときは、痛みを感じにくくなるのです。こんなにシンプルなことでも、より快適な時間にするのにとても効果的なのです」と彼女は説明している。
マインドフルネスを取り入れるために研修は必要か?
ハタヨガや陰ヨガの指導者でもあるシルヴィ・ルフラン氏は、Nouvelles Esthétiquesの研修センターで顔ヨガのトレーナーとして活動している。彼女の研修では、マインドフルネスの概念が幅広く取り上げられている。彼女が説明した通り、エステティシャンが呼吸法やヨガ、マインドフルネスを実践していないなら、これらを学んでも意味はない。「研修はマインドフルネスの本質や目的を理解する助けにはなりますが、日常生活の中で自ら実践している場合にこそ、より有意義なものになるのです」と付け加えた。
シルヴィ・ルフラン氏は長期間インドを旅し、そこでヨガやアーユルヴェーダマッサージなどの研修を受けた経験がある。
マインドフルネスは施術者自身をも癒す
マインドフルネスはお客様だけでなく、施術者自身にも大きなメリットをもたらす。「施術中に自分の姿勢や呼吸の質に意識を向けることが、マインドフルネスにつながります。これらは施術者にとって非常に役立つポイントです。施術は常に体力を消耗するため、自分のエネルギーを回復させることが重要になります。呼吸法の実践によって、エネルギーの消耗を抑えるだけでなく、施術と施術の合間にエネルギーを回復することができます。私の顔ヨガの研修の際や、ヨガの個人レッスンを受講することで学ぶことができます」とシルヴィ・ルフラン氏は説明する。
では、実際に施術の現場でどのように応用すればよいのだろうか。理論上は単純で、施術者は自らの呼吸に集中するだけで良い。しかし、実際には簡単なことではない。「私の研修でもよく見られることなのですが、多くの施術者は施術中に呼吸を止めがちなのです。そのため、酸素が十分に身体に行き渡らず疲れやすくなってしまっています。これは、気を付けていても、触れた手から感じ取ることができます。エネルギーがどんどんと奪われていってしまうのです」と彼女は述べる。呼吸に意識を戻すことの重要性を、心に刻んでおきたい。