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2025年の美容はこう変わる!AI・植物・発酵が導くコスメ成分の未来図

2025年、優れた有効成分、オールインワンコスメへの需要、AIを利用したコスメ開発、あらゆる肌悩みに対応する処方、革新的なシミ取りケア…。2025年にはたくさんの素晴らしいコスメ製品のサプライズがありそうだ。

2025年に話題になるであろう有効成分

成分

オランダセンニチ:植物ベースの美容注入施術の代役

オランダセンニチ(パラクレスとも呼ばれる)は、間違いなく2025年の秀逸したコスメの有効成分になるに違いない。

キク科の開花ハーブの一種であるこの植物の花、葉、茎には、天然の植物分子として認識されているアンチエイジング成分であるスピラントールが豊富に含まれている。この植物分子は、顔のシワの原因となる皮下筋肉の収縮を抑制する急速な筋弛緩作用(筋弛緩)をもたらす。この「美容注入施術のような」効果は、深いシワや小じわを修正することで、肌の老化の明白な老化現象に作用することができる。

しかし、それだけではない。一部の研究では、オランダセンニチには抗酸化作用と抗炎症作用があり、活性酸素によるダメージから皮膚を保護し、炎症を軽減することで目に見える老化現象を軽減する役割を果たしていることが示されている。また、この植物の有効成分については、肌の弾力性とハリの改善に役立つコラーゲンの生成を促す効能もあるという観点からも研究が進められている。

美容のためのキノコ

キノコはもはや料理、健康のためのものだけではない。抗酸化物質、ビタミン、ミネラルが豊富に含まれているため、現在、保湿・鎮静・活性化の特性を備えたコスメ製品としての頭角を現そうとしている。

最も有名なキノコには次のようなものがある。

  • シロキクラゲ(白木耳)に含まれるスーパーオキシドアニオン(O₂.⁻)を特異的に中和するフェノール酸には、皮膚に存在する健康な菌を傷つけたり分解したりするのを防ぐ働きがある。そのため、この有効成分は老化を遅らせ、皮膚細胞を外部の刺激から保護することができる。
  • チャーガ(カバノアナタケ)は、肌の引き締め、保湿、鎮静作用があるため、日常的によく使用されている。
  • 霊芝(マンネンタケ属のキノコ)には、抗炎症作用と抗菌作用があり、吹き出物やニキビの軽減にo効果がある。
  • アンズタケ(ジロール茸)は、頭皮に栄養を与えながら、髪を強化して潤いを与える効果がある。
  • シイタケ(東アジアが中心の食用キノコ)には、肌のトーンを明るくし、肌の色素沈着を減らす酵素が含まれている。

キノコと神経科学

さらに驚くべきことに、キノコと神経科学を関連させ、アトピーの敏感肌に効果をもたらす先駆的な成分があることが近年わかってきた。それは、COSMOSが承認し、特許取得済みの「セレニバイオーム」と呼ばれる、100%天然有効供給成分である「ソラビア」だ。これは強力な糖脂質を放出して宿主を保護する着生菌から着想を得ている。この優れた有効成分は、かゆみで掻きむしってしまう悪循環への対応策として、黄色ブドウ球菌による皮膚への定着を目的としている。

もちろん、この成分は新しいものではないが、2025年にはこの成分はさまざまな形で我々の日常生活の中に取り組まれ、必要不可欠な存在になるだろう。話題になる成分として、主に下記のものがある。

  • 汚染物質を集めるタンニン酸は、活性酸素から肌を保護し、色素沈着を軽減してコラーゲンの合成を促す。
  • フェルラ酸は、生理学的な構造を改善することで皮膚の老化ダメージを修復するのに役立つ。数多くの研究によって、損傷したDNAを細胞レベルで修復し、ヒト皮膚線維芽細胞(HDF)を紫外線UVAから保護し、紫外線UVAからヒト真皮線維芽細胞に影響を及ぼす酸化ストレスを軽減する能力が実証されている。また細胞の変性を阻害し、活性酸素種(ROS)の影響を調節することも可能である。

有効成分の再発見

海洋由来コラーゲン

2025年の傾向の一つは、有効成分もしくは植物由来の成分による新しい治療薬を提供することとなりそうだ。

アルガンオイル

たとえば、Melvitaの「アルガン・ビオ・アクティブ」シリーズでは、アルガンオイルを再利用して、アルガン由来の3つの新しい有効成分を提供している。

  • 有機アルガンオイルの中で酵母(カンジダボンビコラ)を150時間発酵させて生成される発酵アルガンオイルは、植物油よりもマイクロ脂肪酸が20倍豊富で、皮膚の表面により浸透する。それはセラミドのように働き、セメントのように細胞間の結合を強化する。これにより、皮膚は正しいバリア機能を取り戻すことができるようになる。発酵により、新しい有効成分の出現も可能になる:MEL(マンノシルエリスリトール脂質)は伝令RNAを保護し、1A1型コラーゲン(肌の抵抗力とハリを確保するもの)を生成する。早期老化を食い止める強力な味方である。
  • アルガン葉エキスは、皮膚の老化の原因となる酸化鎖を切断し、コラーゲンの合成を促進する。
  • アルガンパルプは、コラーゲンの合成を8倍も増加させ、肌を柔らかくすると同時に水分の損失を抑制する。

コラーゲン

例えばコラーゲンは、ウシ由来か海洋由来のものしかありえないと私たちは考えてきた。しかしバイオミメティクスによる技術によって、生物の自然界に存在する構造や機能を模倣し、それを人間の技術や製品に活かすことが可能となってきた。最も革新的な2025年の化粧品のタイプには、これらの有効性が証明されたペプチドとアミノ酸のバイオミメティクス生体模倣複合成分が組み込まれることになるだろう。分子量が非常に低いため、人間に使用することが可能であるこのヴィーガン・コラーゲンは、表皮の深層の中心部に浸透して皮膚の修復と再生を促進する。皮膚の密度を高めてたるみを防ぎ、シワや小じわの原因になるダメージを減らすことが可能になる。

コスメ改革の先駆者としてのAI

2025年は、化粧品の革新が加速する中でAIはよりいっそう注目を集め続けることになるだろう。AIから新しいアイデアを生み出したり、有効成分の新しい組み合わせを探したり、植物原料の抽出方法の最適化に取り組むことも可能になるためである。AIは、開発者があえて選択しなかった新しい道を模索することも厭わない。さらにAIには、創造性を援助する強力なツールでもあり、膨大な量のデータを調査することで、人間では見出せないようなチャンスをより迅速に、かつ正確に特定できるという大きな利点もある。たとえば、有効成分ペプチドの構造は、アミノ酸の組み合わせの数が無限であることから、また同時に潜在的な機能の幅も広いという点から、AIの活用には特に適している。

未来の農園

科学者、医師、そして農業技術者と協力して設計された屋内栽培型スペースエコ農園「ULÉ」では、新しい有効成分であるPureOhtaniエキスを構成する3種類のアダプトゲン植物を栽培している。コスメ界では前例のないこのエコ農場では、AIを駆使して、新鮮で純度が高く、栄養素が高度に濃縮された植物を手に入れることができる。

コスメ界の時間効率化ブーム

これは2025年に流行するであろう有力な傾向の一つであり、私たちの日々の生活の中でも広く浸透するに違いない。

化粧品の効果が証明されている場合、その効果は28日間から50日間持続するものと言われているが、その効能は肉眼で確認することが難しい場合もある。しかし、消費者は「目に見えてわかりやすい」効果を求めている。時間の経過とともにわかる効果と同時に、即効性も期待しているのだ。この要望を最大限に満たすために、複数のコスメブランドが試行錯誤しながらこのテーマに取り組んできた。

  • ガランシア(Garancia)の「千一夜アンチエイジングクリーム」は、3段階で有効性が証明されている。30分で即効性があるリフトアップ効果、7日でシワの軽減、2週間で肌のハリと弾力が高まる効果がある。
  • クレーム(Krème)の「アンチリンクルコラーゲンセラム」も3段階での効果が証明されている。1時間で顔立ちが引き立ち、1週間でシワが目立たなくなり、1か月で肌が引き締まる効果がある。
  • メルヴィータ(Melvita)の「アルガンビオアクティブ」シリーズは、「コラーゲン増強」効果または「リフトアップ」効果による即効性の効果(2秒間ですぐにふっくらとした肌を実感できる=即効性があること)に焦点を当てていた。

ユカアプリで100/100満点の獲得を目指すコスメブランドの激増

あらゆるコスメブランドは、ますます卓越性を目指し、ユカアプリ(化粧品や食品の成分を分析し評価するアプリ)で100/100点を獲得することを目指している。現在それは、マーケティングや製品開発に必要不可欠な優先事項となっている。ユカアプリを信頼する消費者はこの評価で最高得点の化粧品を購入したいと考えているため、コスメブランドはマーケティングにおいてアプリでの評価に重きを置いている。この傾向は私たちの日々の生活の中でも幅広く浸透することになるであろう。

ユカアプリの評価システム

ユカアプリでは、現在200万以上の化粧品が評価されている。この評価は、健康リスクとして実証済みの可能性(内分泌かく乱物質から、発がん性、アレルギー誘発性などの影響)に応じて、リスクの関連性が示唆されるすべての成分の分析から食品や化粧品の裏側を明らかにしている。スキャンの結果は読みやすく、赤から緑までのカラーコードと、化粧品の成分に割り当てられた0から100までのスコアが表示される。

2025年、コスメ業界の中心となる話題とは

すでに2024年に「化粧水・美容液・乳液・クリーム」など複数の役割を1本に集約したオールインワン製品の人気は高まりを見せたが、2025年もその傾向は継続するだろう。シミ、肌の輝き、老化は本質的に関連しているため、コスメブランドは特に「3-in-1トリートメント」を通じて、これら3つの要求に対応するような商品開発を強化していくだろう。

  • Novexpertの緑茶ポリフェノールを配合した「ブースターセラム」には、緑茶ポリフェノール(EGCG)だけでなく、手のひらのシミの原因となるタンパク質を直接刺激する有効成分も含まれている。これは皮膚自体の力を引き出し、シミを軽減する。
  • エリクソン・ラボラトワ(EricsonLaboratoire)の「ライトリフトコンセントレート–パーフェクトGNX」では、カレンデュラの花から抽出されたオリゴ糖が非常に有効活用され、細胞のエピゲノムにエネルギーを与え、メラニン細胞の生体調節物質と再密度を高めるオリゴペプチド複合体(一部は紅藻類の活性オリゴ糖画分に由来)を組み合わせることで非常に高い効果を得ている。ホワイトリリーとエーデルワイスの抗酸化作用のある抽出物も含まれている。

消費者へ画期的な提案をするために

woman in the clouds

2025年、コスメ業界ではさらなる革新が期待されそうだ。今まで以上に「純粋な美しさ」、多用途かつ機能的な製品、またわかりやすく目に見える効果が求められているため、よりいっそう成分や配合に配慮していかなければならない。そして消費者に新しい画期的な提案をするためのインスピレーションが必要となるだろう。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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SOPHIE MACHETEAU

SOPHIE MACHETEAU

ブランドコンサルタント

フランス雑誌『Les Nouvelles Esthétiques』の寄稿者であり、Bionessenceの創始者です。フリーランスとしてヘルスケア、美容、ウェルビーイング分野の専門誌に寄稿し、自然派化粧品やウェルビーイングに関する著書を約20冊執筆しています。また、環境に配慮したブログ「Suzane Green」を共同設立し、Nature & Découvertesグループで10年間トレーニング責任者を務めた経験を持ちます。現在は、美容とウェルビーイングブランドのポジショニング戦略に関するコンサルタントとして活躍する傍ら、Odile Chabrillac氏主宰のINH(Institut de Naturopathie Humaniste)で自然派化粧品の講師も務めています。

  1. 2025年の美容はこう変わる!AI・植物・発酵が導くコスメ成分の未来図

  2. 【2025年注目】“生物模倣”で進化する次世代スキンケアとは?

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