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【11】 生産のトータルコスト削減を実現~ビアント(下)

ビアントの生産拠点は、宮城県亘理郡の4工場を中心に行なっている。第1工場は、主に化粧水や乳液、クリーム、リキッドファンデーションなど“水もの”といわれる多品種の化粧品を製造。充填機や三本ローラー、真空乳化釜などの主要生産設備を導入し、大ロットから小ロットの生産まで対応している。第2工場は、メイクアップ商品のメイン工場。小ロットのメイクアップ品にも対応するため、手作りラインも 併設している。第3工場は、主にパウダー、ファンデーション、ルースパウダーといった“粉もの”化粧品の製造工場。パウダーやファンデーションの製造には、感触向上や打型などのために油剤を加えるが油剤と粉体を混合し、粉砕するための粉体充填機などが導入されている。舞台屋製造工場は、プロメイク舞台屋のブランド商品を製造する。

同社にOEM生産を委託した時の商品化までの製造工程をメイクアップ商品の「プレスドファンデーション」を例に見ると、
①品質管理部で原料の受入れ検査を行い合格した原料のみ使用する
②原料をシフターでふるって混入しているゴミや異物を除去
③シリコンを紛体原料にコーティング処理し、撥水性を上げて色のクスミを防ぎ原料を撹拌しながらシリコンを表面に付着させてシリコンを高熱で焼き付けコーディングする
④製造に必要な全ての原料を処方に合わせて秤量し紛体原料とオイルベースを均一に混合して原料を細かく粉砕する
⑤製造部でバルクをプレスして色を確認。色が合格したバルクにパール剤を配合して均一に混合してなめらかなテクスチャーに仕上げ最終のバルクを完成させる。品質管理部で最終バルクの菌検査を3日間行い合格した場合、打型工程に進む
⑥オートプレス機で金皿にバルクを打型し、打型したバルクのキズの確認や落下テストを行い、合格した場合、仕上げ工程に進む
⑦金皿をコンパクトに装填して1個箱に包装し品質管理部で最終製品のバルクや仕様の検査(写真)を行い、検査成績書を発行し出荷する。

ビアントこうした高機能、小ロットで高品質、低価格化を実現する生産体制をハード面、ソフト面から確立していることも大きな特徴。

「当社は、メイクアップ化粧品の開発においても試作品の提出期間は平均1ヶ月程度に対し、最長20日間と決めて対応している。これも調色時間を効率化し、試作品の短縮に繋げるなど開発面での効率化を図ったことが大きい。また、原料加工から開発が可能で、開発から製造まで一貫したスケールメリットを追求したことによりトータルコストの削減が実現できた」(中野社長)と強調する。

同社では、引き続き新しい原料加工技術を生み出し、オリジナル原料、独自の最終製品を開発して発売元の差別化に貢献する。同時に、メイクアップ化粧品の色や効果・機能、使用感などを客観的に評価する製品評価システムサービスに力を入れ、顧客サポートの強化を図る計画。

 

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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