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【3】10兆円の新産業創出、美容・化粧品新手のビジネスに

小さな泡“ファインバブル〟の原理や用途が注目されたのは、今から10数年前になる。しかし、ビジネスとして注目を集め、将来性が早くから期待されたものの、これまで普及の足音が鈍く事業の足かせになってきた。

原因は
①ファインバブルがあまりに小さくて肉眼では見えないため、ファインバブルが発生しているか、視認できないなど計測技術・装置の開発が遅れた
②気泡の径や密度で効能の有無や効果の程度は変わってくる。しかし、気泡の径や密度に関する共通の定義や計測手段などが十分に確立していなかった
③ファインバブルの効能・効果を裏付ける事例や実証データが乏しく認知されるまで時間がかかった
④システム開発において各社がばらばらに技術開発を進めたことから、仕様の統一や標準化が遅れた
⑤業界としてのまとまりがなかった  などが要因。

かつて「これがバブル発生装置で生成したバブル水です」との触れ込みで、売り込みを図ったものの、計測装置で測定したところ気泡が全く確認できないなどのケースも見られた。

だが、ここへきてマイクロ(100万分の1m)バブルやナノバブル(10億分の1m)は、加圧溶解した気体を再気泡化したり、気液2相を旋回させながら分散させたりすることで、作り出す(生成)ことが可能となった。

特に、ファインバブルは、水中で縮小する過程で、気泡内部の圧力を高めたり、表面に集積したイオン類をさらに濃縮させたりする効果があることから、様々な分野でアプリケーションが増加。効能・効果の実証が急速に進展したこともあって一躍、成長産業の申し子として踊り出ている。

ファインバブルの特異な機能を利用して美容・化粧品各社は、水面下でファインバブル利用製品の開発に力を入れて取り組んでおり今後、開発競争が猛烈な勢いで進展するのは確実な情勢。また、エステ・美容サロンでは、ファインバブル発生装置を使った顧客サービスに乗り出すなど新規サービスに賭ける意気込みは極めて強く新たな活用方法、応用が一段と羨望される。

ナノ・マイクロバブルは、日本発の革新的技術。産業発展のカギを握る規格の統一化、認証技術の確立などと合わせて多面的な用途開発がさらに進めば、新たな産業による経済創出が出現する。

経産省では、ファインバブルの経済効果について2030年までに世界規模で12兆円以上に達すると試算。ファインバブルという新たな産業の出現は、経済の起爆剤、新規ビジネスを創出する糧になるのは必至だ。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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