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【23】ハラテックインターナショナル② ~納豆樹脂利用の化粧品販売を中止、土に溶ける化粧容器など提案~

ハラテックインターナショナルは、創業間もない2004年に経産省の補助事業「中小企業・ベンチャー挑戦支援事業」の実用化研究開発事業として、納豆樹脂を活用したアトピー性皮膚炎患者向け保剤の開発が採択(2004年度)された。この採択を受けて自社ブランド化粧品「リファーレ」を開発し、ネット通販で販売を始めた。

リファーレは、保湿力を持つ納豆樹脂を活用した保湿美容液。ヒアルロン酸の3倍以上という驚異の保水力で、乾燥肌や水仕事でカサカサになった手肌を潤うことを前面に押し出して商品力を訴求。また、テレビ通販会社が納豆樹脂活用の化粧品を商品化したこともあり、事業化に賭ける期待が一挙に膨らんだ。

こうした納豆樹脂を化粧品原料として販売する一方、納豆樹脂を配合した自社ブランド化粧品の開発・販売といった両面からの事業展開に乗り出した。しかし、ここへきて同社は「リファーレの販売をやめた」(原社長)という。

二兎作戦で新素材の納豆樹脂の販売と自社化粧品の販売に力を入れて成長軌道に乗せるはずが、自社化粧品の販売から撤退した。

自社製品リファーレの販売を辞めた理由は、保湿性に優れるリファーレが市場で受け入られなかったことが主因。
だが、納豆樹脂は、吸水性、可塑性、生分解性に優れた新素材。同社は、この3つの特性を生かした新しい用途をユーザーに提案するなどして、原料販売に力を入れる。

納豆樹脂は、土に埋めると微生物によって水と炭酸ガスに分解されることから、環境に優しい。

納豆樹脂仕立ての化粧品容器は、容器各社に納豆樹脂を原料として売り込む大きな武器になりえる。また、納豆のネバネバ成分を利用した水質浄化剤が原料販売先の水処理メーカーで商品化され、アオコで濁った池をきれいにすることが実証実験で明らかになっている。

このように納豆樹脂は、化粧品用の原料に加えて、化粧品容器や水質浄化剤など原料のアプリケーションとして多面的な用途が見込める。

このため同社は、今後「土に溶ける化粧品容器など納豆樹脂の用途開発による提案営業に力を入れて、原料として拡販を図って行く方針」である。

ヌーヴェル日本版(LNE)公式サイトwith美容経済新聞 2025年6月正式リリース!

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加藤勇

顧問記者/ジャーナリスト

元日刊工業新聞編集局部長。欧州、米国特派員を含め記者歴通算45年。ベンチャー、中小・金融政策専門経済ジャーナリスト。「レバレッジ金融至上主義の崩壊」など著述多数。本誌では主に、経済部門、企業取材を担当。

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