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漢方の将来ビジョン研、提言書をとりまとめ公表

一般社団法人 日本東洋医学会(会長・佐藤弘氏)と日本漢方生薬製剤協会(会長・加藤照和氏)共催による「国民の健康と医療を担う漢方の将来ビジョン研究会」(会長・高久史麿氏)が17日、提言書をまとめ、公表した。漢方製剤のエビデンスを集積して各診療ガイドラインに掲載することや、漢方製剤の品質評価のガイドライン作成、日本漢方の国際的発信を行うことなどが盛り込まれた。

提言書によると、がん支持療法および高齢者のフレイルに対応する医療漢方製剤の必要性を掲げた。抗がん剤の副作用である、しびれなどの末梢神経障害、口内炎、食欲不振、全身倦怠感などに対して、すでに漢方製剤によるエビデンス報告がある。また、医療経済学的分析によると、漢方製剤の使用により保険医療上におけるコストセービングが期待できるとした。

がん支持療法および高齢者疾患に対する漢方製剤のエビデンス構築を加速化させることを謳った。これに併せて、レスポンダーかノンレスポンダーかを見極めるためのバイオマーカーの開発、ポリファーマシーの視点を踏まえた安全性データの蓄積などを掲げた。さらに、エビデンスに基づく診療ガイドラインへの掲載が必要だとした。

漢方製剤の品質確保については、現状、漢方製剤の効能・効果の追加ができないことや、高齢者向けに剤型の変更ができないといった課題があることから、漢方製剤の「リポジショニング(既存薬の別の疾患への新たな利用)」や新剤型のための品質保証および承認申請に関するガイドラインの整備を目指すことを盛り込んだ。これを実現するためには、「厚生労働省、国立医薬品食品衛生研究所、医薬品医療機器総合機構、日本医療研究開発機構、有識者などでワーキンググループまたは研究会を立ち上げて検討すべき」(漢方の将来ビジョン研究会代表世話人 北島政樹氏)とした。

また、漢方製剤の安定供給に向けた取り組みとして、原料生薬の約80%を中国に依存していることから、国内栽培を推進。薬用植物の栽培法や加工調整法の確立など「日本の技術を以てすれば不可能ではない」(北島氏)。

薬価に関しては、現状では採算が悪化し、製造販売企業や品目数が年々減少しており、漢方製剤の安定供給に懸念があることから、漢方製剤を基礎的医薬品として位置づけ、薬価の安定化策を講じるべきだと訴えた。また、メイドインジャパンの漢方製剤の海外展開を推進するとして、産学官による漢方製剤の研究協力体制を構築し、エビデンスを充実していくことを掲げた。

このほか、漢方製剤が一般にほとんど認知されていないことや、「医師ですら知らないために漢方薬が処方されない」(北島氏)といったケースもあることから、国民への漢方薬の啓発・アウトリーチ活動を推進していく。アウトリーチについては、「患者団体にも発信していきたい」(佐藤氏)考えを示した。

同研究会は昨年から、「がん領域」「高齢者医療」「品質確保と安定供給」の大きく3点をテーマに有識者らを交えて議論してきた。今回の提言書をまとめることで、西洋医学と漢方医学の融合により国民の健康と医療に貢献したい狙いがある。今後、提言書は各行政、大学、学会などへ配布・説明していく予定だ。

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