米国の小売市場、デジタルからオフライン化戦略?
2015.08.10
国際部
アメリカの化粧品小売の電子商取引は目覚ましい成長率で、国際コンサルティング会社Kline & Companyの調査によると2009年から5年間の複合年間成長率(CAGR)は24%だった。これは、化粧品小売市場で最も急速に成長している小売チャネルになるが、同社がこのほどリリースしたレポート「Beauty Retailing USA: Channel Analysis and Opportunities」で、デジタル化が前進する中、逆行とも考えられる事象、小売のオフライン化の兆候が2014年から起こっていると伝えている。
一例として、試供品のオンライン定期販売の先駆者である Birchbox(ニューヨーク州)を取りあげている。 Birchbox は2014年夏、ニューヨーク市のソーホー地区で女性消費者を対象にした実店舗をオープンしたほか、男性の試供品のポップアップショップを年末商戦に展開した。オフラインでの実績結果から、カジュアルウェア大手ギャップと提携して、これからポップアップショップのビジネス強化を計画している。
米西海岸に目を向けると、化粧品のオンライン販売を展開しているViolet Greyはロサンゼルスのメルローズ通りにフラッグシップ店を開店した。 同業者のCredo Beautyは今年6月にサンフランシスコ市のフィルモア通りに独立店を開店させており、この1号店を皮切りに小売のチェーン展開を構想しているという。
このパラダイムシフトについて、チャネルにとらわれない消費者にオンラインの利便性とは別のオフライン店でのショッピング体験を活用してもらい“オムニチャネルでのマーケティング強化を図った戦略”などと、 Klineのコンシューマープロダクツ担当部長のKaren Doskow氏は 指摘している。