【連載】大手化粧品会社の研究㉟サラヴィオ化粧品の会社研究 ~世界でも珍しい温泉藻類の研究、円形脱毛症に有効~(上)

2018.07.9

特集

編集部

株式会社サラヴィオ化粧品(大分県別府市)は、大分・別府の温泉中に藻が生息していることを発見し、藻類体から採取した「温泉藻類RG92」(RGは、Regeneration Gateway の頭文字。また、92は、株番号を意味する)が抗炎症、皮膚炎等に有効であることを見出し、成分配合の化粧品等を商品化・販売している。温泉藻の有効成分を化粧品、ヘルスケア等に用途開発し事業化している企業は国内外でも珍しい存在。

同社は、温泉藻類に着目し、温泉藻類の1つRG92の遺伝子分析を信州大で行ったところ、抗炎症作用をはじめ腰痛、関節痛、リウマチによる痛みや筋肉痛等の緩和、アトピー性皮膚炎やニキビ、痒みといった肌への有効性を確認した。

同社の中央研究所は「温泉藻類RG92」について、藻類体から抽出したエキスを含有する組成物及び化粧組成物、炎症性疾患の治療・予防薬として特許申請を行い、2015年1月に特許を取得した。
これを契機に同社の中央研究所で取り組む温泉藻類研究と発毛の司令塔である毛乳頭細胞の一次繊毛(マイクロセンサー)が毛母細胞や線維芽細胞の細胞分裂に関与していることを明らかにした「マイクロセンサー理論」が一挙に国内外から注目されるようになった。

こうした研究成果について同社は、神戸で開催の日本薬学会135年会でRG92について抗炎症作用に富み傷んだ組織を回復するなどの健康や美容を促進する天然エキスであることを表明。同時に、関節炎、皮膚炎、糖化誘導型脱毛症の疾患モデルに「RG92」を作用させたところ、炎症因子や細胞外マトリックス分解酵素の産生が抑制されたこと。また、「RG92」は、糖化や酸化などのストレスから細胞を保護する効果があること。
特に、線維芽細胞では、軟骨コラーゲン、水分調節因子、長寿遺伝子などの発現が誘導されたことを明らかにした。RG92は、円形脱毛症に高い抗炎症作用を持つことが細胞レベル実験(図・円形脱毛症における抗炎症作用参照)で確認、有効性の高さを裏付けた。

ここへきて新たな共同研究にも力を入れている。同社の中央研究所とジェネシスヘルスケア株式会社(東京都渋谷区)が薄毛の要因因子解明に向けて共同戦線を始めている。
日本最大の遺伝子データ(50万人以上)を管理し、遺伝子検査キットのパイオニアであるジェネシスヘルスケア株式会社(代表取締役CSR :佐藤バラン伊里)と、薄毛に悩む方に向けて遺伝子から薄毛の要因と傾向を明らかにし、育毛の作用機序を解明する共同研究開発を行うことで合意したもの。

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