顔がむくんで見える、頬がふくらんでいる、フェイスラインがたるんで見える、二重あごが気になるなど、こうした悩みは多くの来店者にとって大きなコンプレックスになりやすく、自尊心や日常の快適さにも影響を及ぼします。ここでは、フェイシャルトリートメントの技術とテクノロジー機器を組み合わせて、どのようにサポートできるかをご紹介します。
顔の領域において、脂肪組織はボリュームを保ち、フェイスラインを整え、肌の弾力感を支える役割を担っています。しかし、加齢や重力の影響、体重の増減、ホルモンに関連した疾患、治療、妊娠、生活習慣などによって脂肪が減少したり、下方向へ移動したり、あるいは蓄積して、特に顔や首の特定部位で気になるふくらみとなって現れることがあります。
執筆: Laetitia Roméo
二重あごが生じる脂肪蓄積と主要な要因
二重あごは、あご下の皮下脂肪が蓄積することで生じるもので、見た目の印象に影響を与える悩みの一つです。この部分にできるふくらみは来店者の自信を低下させることがあり、要因はいくつか考えられます。
遺伝的要因:来店者の家族に二重あごがある場合、遺伝が関連している可能性があります。あごの形、舌骨や喉頭の位置、後退したあご、短い首といった解剖学的な特徴が、こうした悩みにつながることがあります。
加齢:年齢を重ねると皮膚の弾力が低下し、あご下の肌がゆるむことで二重あごが目立ちやすくなります。
体重の増加:体重が増えると、食生活の影響や妊娠に伴う変化などにより、あご下や首に脂肪がつきやすくなる場合があります。
ストレスとホルモン:慢性的なストレスは内分泌系や代謝に影響し、脂肪の分布に変化をもたらします。また、甲状腺のトラブルなどホルモンバランスの乱れによって体重が増え、あご下に脂肪が溜まりやすくなることがあります。
姿勢および重力の影響:背中が丸まった姿勢、長時間のうつむき姿勢、不適切な睡眠姿勢などは筋肉を圧迫して弱らせ、顔の形に影響を与えます。その結果、二重あごやフェイスラインのもたつきを助長することがあります。
フェイスラインのもたつきが生じる主要な要因

フェイスラインのもたつきとは、頬の皮膚やその下にある組織が下がることで生じる現象です。顔の輪郭が不均一になり、疲れた印象や年齢を感じさせる見た目につながります。この変化は40代以降に徐々に進むものですが、コラーゲンの自然な減少は25歳頃から始まり、ハリの低下によってこの傾向が強まります。年齢が主要な要因ではあるものの、遺伝的背景も大きく影響します。
フェイスラインのもたつきは主に肌のゆるみから起こり、丸顔の傾向がある人では時間とともに脂肪が溜まりやすくなります。重力の影響で脂肪が下方向へ移動し、輪郭が重く見えるようになります。紫外線への長時間の露出、喫煙、食生活、体重変動なども進行を早める要因です。
対処する際は、肌を引き上げてハリを与えることと、不要な脂肪を減らすことの二つを同時にアプローチする必要があります。
頬がふくらんで見える主要な構造的要因
頬が丸く、ボリュームがあるように見えることを気にする女性は少なくありません。来店者の遺伝的特徴が、頬のボリュームに最も影響する要因といえます。
体重増加、食生活の乱れ、水分の滞りなども頬がふくらんで見える要因になります。さらに、頬のボリュームには二種類の脂肪が関係しており、表層にある皮下脂肪と、より深部にある「ブール・ド・ビシャ」と呼ばれる脂肪塊が存在します。特に後者は頬の立体感を強める要因になります。
頬のボリューム過多は一つの原因によって起こることはまれで、複数の要因が組み合わさって生じます。遺伝は顔立ちや脂肪の分布など、来店者が受け継ぐ身体的特徴に大きく関与します。体重変動、妊娠期間を含む変化は全身の脂肪増加につながり、頬も例外ではありません。
水分の滞りやリンパの流れが低下すると、顔のむくみを引き起こします。これらは脂肪とは異なり、体内の水分排出がうまく機能していないことで起こり、頬が膨張して見える原因になります。
フェイスラップの効果と科学的根拠の有無
キム・カーダシアン(Kim Kardashian)が使用しているフェイスラップは、あごのラインを整え、肌のゆるみやフェイスラインのもたつき、二重あごに働きかけるとされています。このサポートバンドは夏には大きな話題となりました。しかし、現時点でその効果を裏付ける科学的な根拠はありません。
医師によると、このようなバンドは1960年代から形成外科領域で使用されてきたものの、あくまでフェイスリフトや脂肪吸引などの術後ケアとして、むくみやあざを防ぎ、組織が元の位置に戻るようサポートする目的に限定されています。医療的な必要がない状態で使用すると、逆にむくみを招いたり、リンパの流れを妨げたり、装着が不快なために睡眠の質を低下させる可能性があります。
来店者から相談があった場合は、このような美容グッズは避けた方がよく、実績がある手技や美容機器への投資を勧めることが望ましいといえます。
脂肪と水分滞留の特徴を見極める重要性
来店者の顔をすっきり見せるためには、まず原因を正確に見極めることが欠かせません。脂肪由来の丸みと、水分滞留による膨張を区別せずに同じアプローチを行うことは誤りです。
脂肪の過剰は顔でも身体でも触ると柔らかい質感があります。一方、水分の滞留は肌に軽い張りを感じさせます。
ハリ低下を補う施術選択と効果的な組み合わせ方法
フェイシャルのリンパドレナージュは、むくみや水分滞留、いわゆる顔が「むくんで見える」状態の改善に非常に有効です。また、クリオリポリシスや超音波などのテクノロジーは脂肪細胞に働きかけ、二重あごやフェイスラインのもたつきといった脂肪の蓄積をターゲットにし、肌のハリ低下の改善にも役立ちます。
水分滞留に適した手技選択と相乗効果の重要性
フェイススカルプティング、コビド、リンパドレナージュなどの手技は、顔の過剰な脂肪を直接減らすことはできませんが、頬のボリュームを整えたり、輪郭を引き締めたり、重く見えるフェイスラインをすっきり見せることに有効です。また、肌のハリを支えることで、フェイスラインのもたつきや二重あごの進行を抑える効果も期待できます。
手技の組み合わせで相乗効果を高める施術設計
水分滞留によって顔がむくんで見える場合、リンパドレナージュだけが効果を発揮する手技といえます。フェイシャルケアを専門とする立場では、顔における脂肪の分布、皮膚のハリ、そして来店者のリンパの状態に応じて、複数の手技を組み合わせて相乗効果を持たせる必要があります。
手技の即時性と持続期間に関する実践的知見
A’corps Beautéの創設者であるLinda Djellalは、これらの手技について「すぐに見た目の変化は出るものの、持続性は高くありません。二週間ほどで効果が薄れます」と説明しています。そのため彼女のチームでは、リンパの流れが低下しやすい来店者に対して、日々のスキンケアの中に簡単なドレナージュの動きを取り入れることを推奨しています。さらに、妊娠中は脂肪や皮膚の深部に働きかけるテクノロジー機器が使用できないため、手技によるケアが重要な選択肢となります。
HIFUとクリオリポリシス選択に必要な精密診断
サロンで使用可能な美容機器は、手技との併用によって効果を高めますが、特に二重あご、頬のふくらみ、フェイスラインのもたつきに対して持続性のある改善を目指す場合には、優先的に活用すべき手段といえます。クリオリポリシス、ラジオ波、HIFUは、手技ほど即時性はないものの、深部に働きかけることでより長期的な結果をもたらし、二〜三カ月後から効果が実感できるとLinda Djellalは述べています。
HIFUまたはクリオリポリシスの選択には診断が鍵
来店者は「顔をすっきり見せたい」と希望するものの、その悩みが肌のゆるみ、脂肪の蓄積、もしくはその両方によるものなのか、判断できないケースが多くあります。最適な美容機器を選ぶには、施術者による精密な診断が欠かせません。
また、顔の形、脂肪の分布、年齢、体重に関する問題、健康状態(妊娠中、敏感肌など)を見極めることも必須です。
クリオリポリシスは二重あごに顕著な脂肪がある場合には有効ですが、施術には一定量の脂肪組織と、ハンドピースを安定して装着できるあごの形が必要になります。
あご幅が狭い場合や、脂肪の減少と皮膚の引き締めを同時に行いたい場合には、HIFUの方が適切です。HIFUは脂肪細胞に働きかけながら、線維芽細胞を刺激して肌のハリを高める効果も期待できると、専門家は説明しています。
ラジオ波が皮膚のゆるみに適している理由
ラジオ波は脂肪代謝に多少の働きかけを示すものの、主な目的は肌を引き締めることです。フランスの美容医療・抗加齢医学会が推奨するように、ラジオ波は皮膚のゆるみが原因で発生する二重あご、フェイスラインのもたつきの改善に適しており、輪郭を整えるだけでなく、脂肪吸引後のあご下の皮膚を引き締めるサポートとしても効果があります。
サロンケアの限界と医療機関との適切な連携
現在、サロンで導入可能な美容機器は制約があるものの、フェイスラインの引き締めや二重あご、頬のふくらみの改善において、十分に満足度の高い結果と持続性を得られるようになっています。
ただし注意すべき点として、肌のゆるみが大きい場合や、体重過多が原因で二重あごが生じている場合、サロンケアだけでは結果が限定的になる可能性があります。そのようなケースでは、適切な解決策を提供するためにも、美容医療や美容外科の専門医への相談を勧めることが必要です。
