深層にある皮膚組織が、いわゆる凹凸やオレンジの皮のような外観を生み、セルライトの原因となります。

執筆: Van LY HOANG 氏(美容分野で24年の指導実績を持つ専門教育者)
皮下組織の構造とセルライト形成の関係

セルライトは、主に女性に多く見られる皮膚の現象で、表面に凹凸が現れます。このメカニズムを理解するためには、皮下組織について知ることが欠かせません。
定義:皮下組織は皮膚の最も深い層で、皮膚を筋肉や骨とつないでいます。
そのため、保護機能やエネルギー貯蔵として重要な役割を担っています。
皮下組織の構成
主な細胞は脂肪細胞です。脂肪組織(脂肪)と疎な結合組織が主体です。血管や神経も含まれています。
皮下組織の主な役割
- エネルギーの貯蔵(脂肪を蓄える機能)
- 外部刺激に対する保護(衝撃をやわらげる働き)
- 体温維持のための断熱作用
- 皮膚に栄養を届ける血管や神経の通り道としての機能
皮下組織の厚さは、年齢、性別、身体の部位、栄養状態によって変化します。
皮下組織について理解が深まると、次にセルライトがどのように形成されるかを説明することができます。脂肪細胞は皮下深部に存在し、これらの脂肪細胞が膨らんだり、血流やリンパの流れが滞ったりすると、結合組織を圧迫します。この作用により皮膚表面に凹凸が生じ、セルライト特有のオレンジの皮のような外観となります。
セルライトの定義とその特徴的な外観
セルライト(または表在性脂肪代謝異常)は、皮下の結合組織に生じる変化であり、脂肪細胞の肥大や微小循環の低下が関係しています。表面にオレンジの皮のような特徴的な外観が見られます。主に女性に多く、深刻な疾患とはされていませんが、美容上の悩みとして扱われています。
脂肪型セルライト

- 脂肪細胞に脂質が蓄積することで生じます。やわらかく痛みは伴わず、体重が増えた方に多く見られます。
- 表面にオレンジの皮のような外観が見られるタイプです。
- 体重増加やホルモン要因によって生じることが多い最も一般的なセルライトです。
- やわらかく、触れても痛みはありません。
水分型セルライト(浸潤型)

- 水分貯留や血流の乱れが関係しています。むくんだように見え、皮膚が冷たく、脚が重だるく感じられることがあります。
- 最も解消しにくいタイプです。
- リンパの滞りや静脈循環の乱れ(水分貯留)が原因となって生じます。
- 脚が重だるく感じられることがよくあります。
線維型セルライト(硬化型)

- 長期間進行した状態で、コラーゲン繊維が硬くなり組織が強く固定されます。硬く触ると痛みが出ることもあります。
- 長期間にわたり進行し、深部に形成されたセルライトです。
- 触れると小さな凹みや脂肪の塊のような感触があり、この特徴から判別できます。
- 組織に深く入り込んでいるため硬く、解消の際に痛みを伴うことがあります。
セルライトが出やすい部位
太もも、ヒップ、腰部、腹部、二の腕。
セルライトを促す主な要因と背景
- ホルモン(特にエストロゲン)
- 遺伝的要因
- 食習慣(糖分や脂質、塩分の過剰摂取)
- 生活習慣(運動不足、ストレス、睡眠不足)
- 静脈やリンパの流れの低下
手技から機器までのセルライト対策アプローチ
美容サロンで行うセルライト評価の要点
- 視診による確認(オレンジの皮のような外観)
- つまみ上げる手技による硬化の確認
- 生活習慣や既往歴に関する聞き取り
美容ケアでのアプローチ
- 手技ケア:つまみ上げてほぐす手技、リンパを促す施術、循環をサポートするトリートメント。
- 機器を用いたケア:エア圧によるケア、超音波、ラジオ波、脂肪冷却、電気刺激など。
- 専用化粧品:セルライト対策クリームや、カフェイン、海藻、アイビーなどを配合した循環サポート系ジェル。
- 生活習慣の見直し:バランスの良い食事、定期的な運動、水分補給。
経過観察と結果フォローにおける美容実務者の役割
- 利用者への情報提供とアドバイス
- 状態に合わせたケアプランの提案
- サロンケアとホームケアの併用を促すこと
- 経過観察と結果のフォロー
