【連載】大手化粧品会社の研究(71)西武HD系列プリンスホテルの化粧品事業に関わる会社研究 ~会員制ホテルルートで化粧品拡販、鉄道・百貨店ともコラボ~(下)
2019.01.18
編集部
株式会社西武ホールディングス(HD、東京都豊島区)は、2019年度にも連結子会社のプリンスホテルで会員制ホテル事業「プリンス バケーション クラブ」を開業する。この会員制ホテルでも化粧品の販売を行い、収益向上に繋げる方針。
「プリンス バケーション クラブ」は、会員権を購入することで、プリンスホテルの複数の施設を利用できる新しい会員制ホテル事業。軽井沢、伊豆、箱根、湘南、日光、北海道、新潟などのリゾートエリアを中心に新設・既存施設を転用して順次、展開する。将来的には会員制ホテル事業を全国に約20施設展開する方針。
会員制ホテル事業は、プリンスホテルの多様な施設運営ノウハウと資産を活用し、ショッピングやゴルフ・スキー場、温泉など隣接する既存のレジャー施設と連携して行う。
プリンスホテルが会員制ホテル事業を立ち上げるのは、プリンスホテルが保有するポテンシャルの高い資産を有効に活用し、既存施設と連携した新たなバケーションスタイルを提案することで、新規顧客と生涯顧客化の取り込みを図って行くのが狙い。
会員制ホテル事業の立ち上げに合わせて化粧品販売についても西武グループの会員組織「SEIBU PRINCE CLUB」の顧客をはじめ、アクティブシニア層やファミリー層、法人などを対象に売り込みを図る。
一方、プリンスホテルは、西武鉄道・西武池袋本店がコラボを組んで池袋エリアの訪日外国人誘致と化粧品などの物販販売に乗り出した。
西武鉄道は、2018年10月に初の訪日外国人向け観光案内所「SEIBU Tourist Information Center Ikebukuro」(TIC 池袋)を開設。また、西武池袋本店は、免税カウンターやスーベニールショップ、海外発行のカード対応の銀行ATMなどを集約したインバウンドコーナーとセブン&アイの顧客接点で購買に繋げるマーケティング手法のオムニチャネル施策「オムニ7」対応の化粧品売場「コスメアネックス」をオープンするなど、インパウンド需要の取り込みに協働で対応している。
しかし、具体的な化粧品戦略が見えない。会社として化粧品事業をどのように位置づけて事業の成長を図って行くのか。また、新製品の開発や市場投入、顧客の取り囲み、リピート施策、販売チャネルの明確さなど具体性に欠ける。
今後の化粧品戦略、戦術に期待するところが大きい。