【連載】この中小化粧品会社に注目(57)ユーティ化粧品(上)~農商工連携で防腐剤不要の化粧品開発~

2021.05.10

特集

編集部

株式会社ユーティ化粧品(大阪府大阪市)は、沖縄宮古島産アロエベラから化粧品原料のアロエベラ葉水(アロエベラ枠)を抽出して原料販売と原料配合の自然派化粧品を製造販売するため農商工連携事業の認定(2008年度)を受けて事業化した。

同社の法人設立は2006年9月。法人設立後、コラーゲンを多く含み保湿性等に優れたアロエを主原料とした商品開発を検討。その中で、無農薬で栽培されている宮古島のアロエベラ(アロエの一種)の品質の高さに注目。宮古島のアロエベラ生産者等と連携して新たな化粧品の開発・販売を行うこととした。

2009年度の農林水産省・経済産業省所管の補助事業「農商工等連携対策支援事業」に認定されたことから、添加物や防腐剤等を含まない化粧品原料と化粧品開発に取り組むことにした。
連携体に参画した各社の役割は、中核法人としてユーティ化粧品が自社保有の特許製法技術「低温濃縮蒸留装置」を使った原料のアロエベラ葉水の抽出と化粧品の開発を担当。ユーティ化粧品のグループ会社 有限会社パーソナルフードサービス(沖縄県宜野湾市)が販売を担当、また、コーラルベジタブル株式会社(沖縄県宮古島市)がアロエベラ農産物の流通・加工を担当。そしてアロエベラの生産を宮古島アロエベラ生産組合が担当する布陣。

特に、ユーティ化粧品が開発した「低温濃縮蒸留製法」によるアロエベラ葉水は、粒子が細かくなり浸透性の向上、コラーゲン産出もアロエベラ原液の7倍以上ある。また、水と防腐剤を混ぜないでアロエベラ葉水だけを主原料にアンチエイジング化粧品の原料とすることができる。

こうしたアロエベラ葉水を化粧品の原料として配合して商品化したのが「アロエベラ粋(すい)」シリーズとして保湿ジェル、化粧水、乳液等を開発。これらの商品をラインナップして問屋、デパート、専門店、オンラインショップ等を中心に販売した。
通常、化粧水は、微量の有用成分を水で濃縮還元する製法が多いが、同化粧水は、化粧品としての必要最低限の防腐剤が含まれるものの、原材料の98%がアロエベラ葉水であり、水を一切使わないアロエベラの有効成分を損なわずに匂いを取除いた他では見られない特徴の化粧品開発を実現した。

同社は「消費者の安心で自然な原材料を求めるニーズに応えた商品を開発できた」として現在、トレーサビリティを取り入れた安心・安全な化粧品として安定供給を図っている。

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