【連載】この中小化粧品会社に注目(61)美養(下)~生命情報研、FCサロン、エステスクール展開~
2021.05.29
編集部
美養は、自社開発した化粧品を自社運営の通販サイト「シェルドマリ」での販売に加えて、フランチャンズチェーン(FC)によるエステサロンでも販売(卸)している。
FC方式のエステサロンは、グループ会社の株式会社生命情報研究所が行っている。
同研究所は1994年4月に設立。現在の同研究所の代表取締役会長は、美養の創業者で社長の沼倉萬里枝氏が就く。生命情報研究所は、グループ企業というよりは、同族経営といってよい。
現在のFCエステサロン加盟店舗数は、全国で約55店舗に上る。同エステサロンは、デトックス(排毒)や遠赤外線で体を温める等の施術を行う一方、自社開発の基礎化粧品をFC加盟店に卸販売または加盟店を通じて一般消費者に販売するなど重要な販路チャネルとなっている。
同研究所は、乳酸菌生産物質の研究も行っているとみられるが、ラボ(研究開発)の機能を持っているか、どうかは、今一つはっきりしない。
乳酸菌生産物質は、生命情報研究所で研究し製造している複合酵素・豆乳発酵液のこと。
乳酸菌生産物質については、原液や生産ノウハウを発明し開発した知り合い(個人)から沼倉萬里江代表が譲りうけたもの。
現在、乳酸菌生産物質について同研究所は「独自の製法で製造し化粧品や補助食品等に使用している」としているが使用実態は不透明だ。
同研究所は、FCサロンの展開や乳酸菌生産物質の製造等と合わせてエステの施術(セラピスト)教育のスクールを開講し運営している。横浜本校には、宿泊施設を完備するとともにFC加盟エステ店で施術の実習・教育が受けられる。
一般社団法人美養研究会は、美容と健康事業を展開する。
事業内容は
⓵生涯学習・地域サークルにおける健康体操教室・健康講座・指導・講演
②高齢者疑似体験による身体の不自由体験教室&生涯現役教室、企業の社員研修指導
③高齢者施設に対する訪問ケア、体操教室
④健康づくり指導員養成などを行っている。
ともあれ美養は、化粧品や補助食品事業とグループ企業の生命情報研究所によるエステ事業を主力に展開しているが、将来の経営ビジョンや経営の羅針盤が見えない。特に、技術の深度、技術のビヘイビア(重さ)を追求した化粧品の新技術や新製品等の研究開発に資源を傾注する具体的な戦略・戦術が望まれる。