「化粧品原料メーカー、商社の事業展開に迫る」【18】 水溶、油溶性フラーレンのエビデンス実証、”時空を超えるか”(中)

2014.05.29

特集

編集部

三菱商事子会社のビタミンC60バイオリサーチは、権利化した特許技術の水溶性フラーレン製造法を用いて化粧機能性を持つ水溶性フラーレン「ラジカルスポンジ」(商標名、2005年販売)と、油剤にフラーレンを高濃度に溶解した油溶性フラーレン「リポフラーレン」(2009年販売)の2製品を中心に現在、化粧品、OEMメーカーなどに販売している。

RS_原料原料RS写真_IMG_2077「ラジカルスポンジ」(写真)は精製したフラーレンに水溶性の高分子であるPVPを包接させたもの。紫外線によって発生した皮膚細胞のラジカル(活性酸素を含む活性分子種)を捕集、消去するなどの活性酸素捕集能力に優れる。

性状は、こげ茶色で粘性の液体。包装形態は容器1kgと100g入り。容器の胴体表面にラジカルスポンジの英文の頭文字RFを表示したラベルを張り付けている。

同社は、ラジカルスポンジ1%とヒアルロン酸0.4%を配合した水溶液を1日3回塗布して角層剥離後のバリア機能回復(バリア回復率)について被験者9人を対象に臨床試験を行なった。その結果、ヒアルロン酸併用の水溶液が塗布1日後からバリア機能が回復し、ヒアルロン酸単独などと比べて約20%以上回復することが判明した(グラフ)。

ビタミンC60バイオリサーチ_中グラフ

油溶性フラーレン「リポフラーレン」(写真)は、フラーレンを植物性スクワランに溶解させたもので、クリームや乳液など油分の多い化粧品への配合に適している。NEDOの研究開発成果として実用化した。

LF_原料原料LF写真_IMG_2084特徴は、優れた抗酸化作用を有し、細胞障害抑制や細胞保護、抗シワなどの効果を臨床試験で実証済み。赤褐色、褐色の液体リポフラーレンの包装形態は、ピンク色にリポフラーレンの英文の頭文字LF(油溶性フラーレンが1%以上配合されているという意味)を表示した斬新なデザインのブリキ缶(写真)にリポフラーレンを入れた800グラム入りと80グラム入りがある。

これらの水溶性、油溶性フラーレンの安全性については、光毒性試験(代替法)や合成化学物質などが遺伝物質である DNA や染色体に損傷を与え突然変異を起こす変異原性試験、ヒト皮膚透過性試験で毒性、変異原性などがないことを確認。また、水溶性、油溶性化粧成分の原料フラーレンについても医薬部外品、添加物の申請のために必要な9項目とヒトバッチテストを行いすべて陰性という結果を得るなどの安全性を確認している。

いずれの効能効果試験や安全性試験については、共同研究している国内約10大学での科学的根拠(エビデンス)に基づいて証明した。

現在、水溶性、油溶性フラーレンの国内販売は、直販体制を敷き中堅化粧品メーカー中心に採用が相次いでいる。

同社では「水溶性、油溶性フラーレンについてユーザーの認識は高い。最近では、ユーザーに合ったスペックを入れて提案営業に力を入れている」という。また、海外展開は、三菱商事の海外ネットや原料商社を通じてアジア市場を攻略。顧客開拓による大量受注を狙う。時空を超えて化粧原料フラーレンの需要を拡大し、中・長期売り上げ目標数10億円乗せが実現できるか、今後の販売動向が注目される。

 

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