【連載】化粧品各社のイノベーション研究【22】ロート製薬② ~再生医療で産学連携推進~

2016.04.25

特集

編集部

ロート製薬は、東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター内に、先端的再生医療社会連携研究部門を設置(2014年10月から3年間)したのに続き、琉球大学医学部内に再生医療研究センターを設立(2015年6月)するなど、産学連携による再生医療の研究開発を加速している。

東大での研究開発は、間葉系幹細胞を中心とし、組織からの効率的な単離・培養方法、各種組織細胞への分化誘導方法、高品質な間葉系幹細胞の製造を目的とした新しい品質管理方法などの開発を目的とした基盤研究を行っている。
同社と東大の再生医療研究に関して、毛髪再生ベンチャーが毛髪脱毛症の研究開発に参画するなどして2017年にも治験を開始する見込み。

無題琉球大学医学部内に設置(2015年6月)した再生医療研究センター(写真上)は、主力研究所のリサーチビレッジ京都(写真下)と並んで、脂肪由来幹細胞の研究と医薬品開発のメッカとして大きな期待が寄せられている。

同社は、琉球大が沖縄県の先端医療産業形成事業の中核拠点として基礎研究から臨床試験まで一貫体制を構築し、ロートの再生医療研究に協力、ビジネス化を加速していくことから同センターを建設して臨床評価に必要な建屋を寄贈した。

現在、同研究センターでは、体性幹細胞の中でも脂肪幹細胞に注目し、無血清・アニマルフリー培地技術などを生かして再生医療の国際的な開発競争をリードするとともに、2020年頃にも新薬を開発して市場投入する予定。

同社は、 体性幹細胞の活性化や外部因子の研究により、病気の治療や将来の予防医療を視野に入れて脂肪幹細胞の実用化を図るため、司令塔役の「再生医療研究企画部」を設立(2013年5月)。主力研究所の「リサーチビレッジ京都」内に細胞加工施設(CPC)を備えた培養技術の確立を進めるなど研究所間の連携を図っている。

一方、同社は、大阪大学大学院医学系研究科と大阪大医学部付属病院との間で、研究、事業化連携の推進に関する協定書を結んだ(2015年12月)。

現在、関西地区は、健康・医療分野における国家戦略特区に指定されている。その中で、大阪大学は、再生医療や医療機器開発、スポーツサイエンス等の分野で先進的活動に加え国立附属病院の内、国内唯一の国家戦略特区内臨床研究の中核病院として取り組みを強化している。

こうした状況の中で同大学は、企業との連携強化による研究成果の事業化を加速。同時に、社会活用の促進を目的として国立大医学部発の健康・医療分野における「産業連携・クロスイノベーション」の推進組織を立ち上げた。

これに伴い同社は、同協定書を締結し現在、共同研究の実施、人材育成、研究成果の事業化策などを策定して取り組みを強化している。

 

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