【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【16】サラヴィオ化粧品② ~温泉に蘇生する新種の藻、肌、頭髪の諸症状を改善~
2016.09.13
編集部
温泉水源には、いまだに同定されていない固有の藻類(酸素発生型の光合成を行う微生物)が生息している。これら微生物から得られる有用成分は、産業的に応用価値が高い可能性があることから、新規微生物の探索に関して世界中で激しい競争が繰り広げられている。
サラヴィオ中央研究所の温泉研究チームは「温泉大国日本でも温泉治療を実現し合わせて温泉の天然資源を『美容と健康』の促進に役立てる」との想いから、別府明礬温泉に温泉を専門に研究する温泉藻類研究所を開設、温泉に生息する「藻」にスポットをあてた研究を積み重ねてきた。
そうした中、2012年に別府温泉から発見した温泉藻類のうち4つの藻類が新種であることが判明。特に「RG92」と名付けた新種の藻が大学に依頼して行った疾患モデルを用いた遺伝子解析から、含有している糖脂質に高い炎症作用(図)を持つことが明らかになった。
中央研究所は、さらにRG92に含まれる糖脂質がどのような仕組みで、関節、肌および頭髪の諸症状を改善するのか、その作用機序の解明に取り組んだ。
RG92糖脂質の作用機序の解明を行った結果
①滑膜細胞の炎症モデルにおいて、炎症性サイトカインおよび痛覚を過敏にさせる因子の発現を抑制すること。また、リウマチ患者由来の滑膜細胞においても軟骨破壊に関与する細胞外基質分解酵素(MMP-3)の産生を抑制することを解明した
②RG92糖脂質は、細胞で抗炎症作用、抗老化作用を示すことが明らかになった。皮膚炎モデルの細胞において、RG92糖脂質は、各種の炎症性サイトカイン、痛みや痒みに関与する因子、ニキビの悪化に関与する因子の発現を抑え、炎症反応の進展に関与する酵素活性も低下させることを見出した。一方で、RG92糖脂質は、各種のストレス環境下において皮膚細胞の生存を維持させるほか、細胞の老化に抗する長寿遺伝子などの発現を増大させることが判明した。RG92糖脂質は、これらの因子の発現や機能を複合的に調節することで「皮膚トラブルを改善し、健やかな肌の状態へ回復させると考えられる」としている
③RG92糖脂質は、炎症や糖化(老化)を伴った脱毛を抑制する
④モニター被験者に施用してアンケート調査を行い関節痛やアトピー性皮膚炎、ニキビなどの炎症性疾患が改善されたことが明らかになった
こうした抗炎症作用のほか健康や美容に関する効果が発現されたことから一連の実証を踏まえて新商品の応用開発に意欲的に取り組んでいる。