【連載】美容漢方~漢方の新たな市場を創出~【5】東西薬局、掌蹠膿疱症は治療実績が豊富で改善に自信(上)

2016.12.26

特集

編集部

東京の吉祥寺、調布、八王子に漢方薬局を3店舗構える東西薬局では、中医学中心の漢方相談を行っている。このうち、吉祥寺店(東京都武蔵野市)では中医アロマサロンを併設しており、美容に対する取り組みにも力を入れている。

吉祥寺店の主な漢方相談は、不妊症と皮膚トラブル。婦人科系のトラブルで来店するお客の年齢層は30~40代前半が多い。近年、増加している不妊症で悩む患者は「肌のトラブルも一緒に抱えているケースがある。婦人科系のトラブルを治していく過程で、同時に肌も改善していくことを実感されるお客が多い」(東西薬局代表の猪越英明氏)という。

皮膚疾患については、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)で相談に来る患者が多い。掌蹠膿疱症とは、膿がたまっている膿疱と呼ばれる皮疹が、手のひらや足の裏に生ずる疾患で、周期的に良くなったり、悪くなったりを繰り返す。発症の原因は、まだはっきりとはわかっていないものの、自己免疫疾患であるとも言われている。「西洋医では、ステロイドやビタミン剤などで対処するが、なかなか成果が出ない。当店ではこの症状に対する治療実績が豊富で、西洋医より改善率は高い」(猪越氏)と胸を張る。

こうした皮膚疾患に対する改善が見られるのは、おおむね3カ月~半年かかるといい、「完治には年単位で見なければならない」(猪越氏)。

治療に当たっては、中医学独自の診断法である弁証論治を使うが、治則としては、人体の根本である“腎”を立て直すことを考えるという。また、皮膚に赤みがあれば、その炎症も併せて取っていき、最終的には血流の改善を図っていく。つまり、補腎系薬プラス炎症を抑える薬のペアで処方を検討。いずれも基本的には漢方薬だけで対応しているという。

特に慢性的な皮膚疾患には呼吸器系にも問題があると考えるので、呼吸をつさかどる肺と、腎を強化する「八仙丸」(六味地黄丸+麦門冬+五味子)を処方することが多いという。八仙丸は丸剤なので長期にわたって飲みやすく、煎じ薬のように手間暇をかける必要がない。

婦人科系のトラブルを治療する際には、根本の腎に着目する。腎は卵巣機能、生殖能力、ホルモン分泌などをつかさどるとともに、「身体の津液を蓄えておく役割もあるので、身体の潤いを保つ保湿能力なども腎に関わってくる」(猪越氏)。

また、肌のハリやツヤを保つには、血についてもサポートが必要。処方としては、例えば、当帰をベースにした「婦宝当帰膠」のほか、亀板膠や鼈甲膠などを配合した「星火亀鹿仙」といった薬がある。いずれも液状タイプのマイルドな味で、飲みやすくなっている。

「血液にも身体を潤す力があるので、血液の量をきちんと確保して、その流れを良くすれば肌や毛髪に効いてくる。おおむね3カ月飲むことで実感が出てくる」(猪越氏)といい、内面の美は腎と血の栄養状態にかかっている。※(下)に続く

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