【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【46】アドバンジェン① ~毛髪を太く長い髪に導くことに成功、養毛剤等を商品化~

2017.01.19

特集

編集部

株式会社アドバンジェン(千葉県柏市、社長 小池浩一郎氏)は、経済産業省所管の独立行政法人産業技術総合研究所が認定したバイオベンチャー。同社は、2002年に産業技術総合研究所の「髪」と「肌」に関する研究成果を事業化する目的で設立した。

同社は、開発コンセプトとして体内で作られる微量のたんぱく質で、髪のライフサイクルをつかさどる脱毛遺伝子「FGF-5」の発見を契機にして、約10数年前から「FGF-5」を毛髪の成長メカニズムや育毛成分等の開発の中心に位置づけ、科学的根拠に基づいた髪の研究開発を行ってきた。

これまで、2000種類以上の植物エキスなどからこの脱毛遺伝子を抑える最適なエキスを同社のスクリーニング試験で見出し、この脱毛遺伝子からできるFGF-5タンパク質の働きを調節することで、髪の成長期を短くかつ長くすることを実現した。

%e3%82%a2%e3%83%89%e3%83%90%e3%83%b3%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%83%b3%e3%80%8c%e3%82%b7%e3%83%a3%e3%83%b3%e3%83%97%e3%83%bc%e3%80%8dいわば、毛髪の成長期から退行期に入るためのシグナルで、毛髪の伸長をストップするFGF-5因子にFGF-5の働きを抑える植物エキスを配合。この結果、短く細い毛で成長を終えていた毛髪を太く長い髪に導くことに繋げシャンプー(写真)や毛髪剤を商品化した。

「当社は、FGF-5に特化して育毛技術を研究しているユニークな存在として知られている。当社が行ったスクリーニング試験では、FGF-5の働きを調節する植物エキスが4ヵ月間の臨床試験で、シャンプー後の抜け毛を30%減少。また、成長を続けている毛髪を30%増加することを証明している」という。

同社の髪の研究開発を推進しているのは、2007年10月に東大柏ベンチャープラザ内に設立した毛髪遺伝子研究所。
同研究所の研究開発チームは、毛髪の伸長をストップする因子「FGF-5」が働くことを抑えることに着目し、FGF-5を抑制する働きを持つ物質・成分を徹底的に追及した。

その結果、約2,000種にも及ぶ物質の中から抑制効果を持つ成分を発見し、その成分にFGF-5阻害活性植物エキスを厳選配合することで、毛周期のベストサイクルを保ち成長期の長期化を実現した。

同社は、毛髪の研究開発の技術水準を高めるため、徳島大学や島根大学等との共同研究を推進し、基礎研究から臨床応用までの一貫した研究開発体制を確立している。

2011年1月には、中国・瀋陽薬科大学と共同研究契約を締結。現地に「日中共同天然物化学薬効探索研究室」を設立して毛髪に有用な薬草の探索研究を行っている。

 

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