【連載】医薬・創薬企業の化粧品事業⑨マルホ~化粧品「イニクス」をアフターケアの第一歩として販売~

2017.06.27

特集

編集部

マルホ株式会社(大阪府大阪市、未上場)は、医療用医薬品等の研究・開発・製造・販売を行う製薬企業。創業は、1915年で業員数は1398人(2016年9月末)。2016年9月期の総売上高は、700億7400万円にのぼる。このうち、化粧品事業の売り上げは非公表。
同社は、事業領域を「ケアサイクル」へと拡大し、これまでの医薬品の提供による治療領域への貢献だけに止まらず、「診断」、「予防」、「アフターケア」に関わる製品の提供を通じて皮膚の悩みに幅広く応えていくことを基本方針(2011年)として打ち出した。

この基本方針に沿って2014年10月に「アフターケア」に対する取り組みの第一歩となる自社化粧品ブランド「イニクス」(写真)を開発し、通販市場に投入した。
イニクスは「ゆらぎ肌」という女性特有の体調の波や生活の変化、ストレス、季節の変化などに敏感に反応してしまう不安定な肌にフォーカスし、「弱った肌をいたわりながら健やかな肌に導く」という。
イニクスは、肌悩みに合わせてモイスト(しっとり)とディープモイスト(よりしっとり)の2ラインを揃え、使用感の好みに合わせて選べる。
商品の特長は
①刺激になるものを徹底して排除し、水に含まれる不純物を排除し「超純水」を使用
② 乾燥や刺激から肌を守り、美容成分が働きやすい肌環境に整える
③ バリア機能の要となるタンパク質、フィラグリンに着目。ビタミンB6誘導体※3がバリア機能をいたわりながら肌のうるおいをキープし、ゆらぎ肌の大きな原因である乾燥を根本ケアする
④乾燥や刺激に負けない肌を育みながら、ツヤ成分ビサボロールの働きで、美肌へ導くなど。インターネット販売 (店頭販売なし)中心に展開中。

同社では、市場に投入して約2年半を経過してイニクスの販売状況について、「徐々に浸透してきている」という。また、イニクスに続く第二、第三の化粧品を商品化し、市場に投入する計画について「現時点で未定」としており、化粧品事業に賭ける意気込みは精彩に欠ける。
その意味で、化粧品事業がどの程度、事業として確立しているのか、具体性に欠ける。ただ、アフターケアに関わる製品の提供を通じて皮膚の悩みに幅広く応えていくことを基本方針としていることから判断して、今後、新製品開発や市場への投入時期などビジネス展開がより鮮明になってこよう。その具体化への期待も大きい。

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