【連載】医薬・創薬企業の化粧品事業⑯ナノキャリア(下) ~育毛剤デプスを百貨店、化粧品専門店等で販売~

2017.07.21

特集

編集部

ナノキャリアは、コア技術であるミセル化ナノ粒子技術を化粧品開発に応用し、2010年10月にヒノキチオール、ビタミンC誘導体、ビタミンEをミセル化ナノ粒子に内包して配合した美容液「エクラフチュールW」を開発、市場投入した。(エクラフチュールWは、2013年6月末をもって販売を終了)。
このエクラフチュールWをコーセー系列のアルビオンに評価を依頼。これを踏まえて両社は、2012年7月に化粧品の共同研究を行うことで合意。2013年9月から両社の得意分野を生かして主要成分を皮膚に浸透させるための開発に取り組んだ結果、高機能の新美容液「エクラフチュール」を実用化した。
エクラフチュールは、2013年10月にネット中心に販売したが現在、販売は中止となっている。アルビオンのエクラフチュール販売中止の理由は明らかになっていない。

両社は、さらに2015年11月に化粧品の新たな共同事業に関する基本契約を締結した。両社による共同研究契約は、育毛剤を中心とした研究に加え、育毛効果を最大限に発揮するためのトータルケアシリーズとして毛髪分野に開発の領域を広げ開発を推進しようというもの。
この毛髪分野の製品開発の中から誕生させたのが男性ヘアケア製品「デブス」(写真)で、ナノキャリアが2016年3月から美容室でのカウンセリング販売やネット通販を始めた。
現在、デプスは、ネット販売と大手百貨店、化粧品専門店でも販売を始めるなど販売チャンネルを拡大している。

なお、ナノキャリアとアルビオンと共同開発した化粧品について、販売をナノキャリアが担当している化粧品とアルビオンが販売担当している化粧品とがある。
新美容液「エクラフチュール」(2013年、アルビオン販売)、「エクシアAL」(2016年、アルビオン販売)、育毛剤「デプス」(ナノキャリア販売)など。
同社は、2015年1月に化粧品専門部隊を社内に組織化し、化粧品分野への参入を明確化した。しかし、現状において化粧品事業部門の課題も少なくない。
課題の要諦は、がん創薬実現と合わせて化粧品事業の収益向上を図り成長軌道に乗せることにある。今後、化粧品事業部がヘッドコーターとなって販路開拓をいかに推進していくか、チャンネルの拡大と収益向上に期待がかかる。

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