【特別企画】大手各社の化粧品事業戦略に迫る[8] 高砂香料工業、来期フレグランス売り上げ300億円目標

2013.07.18

特集

編集部

高砂香料工業、来期フレグランス売り上げ300億円目標

高砂香料工業は、フレーバー(食品香料)、フレグランス(香粧品香料)、アロマケミカル(合成品)、ファインケミカル(精密化学品)の4分野を軸に事業を展開するグローバル香料会社。現在、3ヵ年経営計画(2012 年度から2014 年度まで)を推進中。経営資源を最適化し、顧客の信頼をベースに成長を図るため「グローバル化」「ブランド化」「技術革新」、持続可能な企業経営「サステナブル経営」を基本戦略に位置付けてグローバル市場でトップクラスの香料会社を目指す。

フレグランス香水、オーデコロン、化粧品、シャンプーなどに使われるフレグランスは、国内市場が250億円市場からほとんど伸びていない。800億円市場を形成する世界市場では、世界最大の香料メーカージボダン(スイス)が市場占有率(シェア)約25%とトップシェアを占めフィルメニッヒ(スイス)、インターナショナルフレーバー&フレグランス(米国=IFF)、シムライズ(独)などの競合メーカーを引き離す。

フレグランス世界市場で、シェア約6.7%と第5位にランクしている同社にとって嫌が上にもライバル各社とのグローバル市場での戦いは避けられない。

ライバル各社は、成熟した欧米市場に代わって人口増加や経済成長、香粧品需要の伸びが見込める中国、インド、ブラジルなどBRICS(新興国)市場に相次いで研究開発、製造・販売拠点(現地化)を開設、ここへきて生産増強に打って出る動きにある。

同社は、1968年の米国法人設立(子会社)を皮切りに香料生産・販売の現地化を進め、現在26の国と地域に海外事業所を持つ。この内、2013年3月現在、欧米と中国、アジア中心に設立した100%出資の子会社は、6社を数える。また、天然素材の確保と商品化を狙いにモロッコ(2012年11月)やマダカスカル(2013年5月)にも関係会社を設立。マダカスカルで抽出したバニラエッセンスをモロッコで加工し、輸出する体制を整えた。さらに、インドにも開発、製造、販売拠点を設け、現在、生産工場を建設中。投資額は、8億円、2015年度にも本格稼働する予定で、国際化に拍車をかける。

同社は、国際化の進展に伴い、海外での投資をさらに活発化する。3ヵ年経営計画に盛り込んだ海外投資計画は、今年1年間で東南アジアでの設備拡張に42億円を投資する。来年は、フレグランスの生産体制を強化するため、27億円の投資を予定している。

フレグランス事業の売り上げベースは、2013年3月期で、前期比4.1%増の271億円にのぼる。米国、アジア子会社の販売が伸長したことが要因。今期(2014年3月期)は、280億円を見込む。3ヵ年経営計画が完了する2015年3月期に300億円の売り上げを目標としている。

同社は、国内外でのフレグランス事業に一段と弾みを付けるため機構改革(2012年5月)を実施し、新たにフレグランス・アロマケミカル事業本部を新設した。

同本部にマーケット部門や研究開発本部からフレグランス研究所を移管するなど顧客対応型の組織とした。 得意先がイメージしている香りや求める条件(水溶性、油溶性、耐熱性)などを把握し、ニーズに合ったフレグランスを的確に提供することを目指す。同時に、海外拠点の研究部門と連携を図ってプロジェクトチームによる集中的アプローチや共同で新しい創香の開発、評価法の確立など得意先に対する対応のスピードアップをさらに促進する。「得意先との商談は、個別対応ユーザーが望む原料保有が決め手になる」(同本部企画部)として実用化に取り組むミューゲ(スズラン)香料などを今後、市場に投入する方針だ。

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