【連載】大手化粧品会社の研究⑮花王・カネボウ化粧品の会社研究 ~花王、カネボウ買収後10年にして組織統合~(中)
2018.04.5
編集部
白斑問題に揺れる中、花王は、子会社のカネボウ化粧品との統合再編について体系付け(図・新組織体系)を行い、統合再編の第1弾として2014年7月に研究部門と生産部門を統合した。
2014年7月に行った研究・生産の統合は、カネボウの小田原研究所を改組し、化粧品に関する研究組織を花王と統合した。また、同時期に花王、カネボウの化粧品の生産部門も100%出資の新しい製造会社に一本化。さらに、50億~60億円を投じてカネボウの小田原工場を増強し、花王東京工場で生産していた「ソフィーナ」などの生産を小田原工場に移した。
この生産と研究の統合に続いて花王は、4年後の2018年1月1日付けで子会社のカネボウ化粧品を含む国内販売・マーケティング部門の再編(図・マーケティング・販売の新組織参照)に踏み切った。
花王本体とカネボウの販売・マーケティング機能を完全に統合し、花王子会社の「花王グループカスタマーマーケティング株式会社」(東京都中央区)に集約。また、売り場づくりのマーチャンダイジング機能についても子会社の「花王フィールドマーケティング株式会社」(東京都中央区)に一本化した。
機能別の組織体制に改めることで、グループの総合力を発揮し合わせて花王製品とカネボウ製品の販売面で相乗効果を発揮するのが狙い。
さらに、花王がグループの販売を担う事業持ち株会社として2004年1月に設立した花王グループカスタマーマーケティングの子会社として、2017年10月に「ソフィーナビューティカウンセリング株式会社」(東京都中央区)と「カネボウビューティカウンセリング株式会社」(東京都中央区)の美容専門会社2社を立ち上げて傘下に置いた。美容部員による花王とカネボウの美容カウンセリングを強化し、顧客のニーズに対応する。
花王は、2006年1月のカネボウの化粧品事業を買収して以降、合併によるシナジー効果を期待したが、ブランド力や化粧品の売上実績等で親会社を凌ぐカネボウを尊重して事業や人事等に深く介入してこなかった。また、カネボウが白斑問題で屋台骨が揺らぐ中、カネボウ主体で問題の解決に当たらせるなど自主路線をとった。
こうした難局に突入しながらもカネボウが花王の軍門に実質的に下ったのは、買収して約12年を経過した2018年1月のこと。両社の統合再編は、10年を超えて初めて完成されたといえる。