【連載】大手化粧品会社の研究⑱ピアスの会社研究 ~1ブランド1社で事業展開、事業部に権限集中~(上)

2018.04.19

特集

編集部

ピアス株式会社(大阪府大阪市、非上場)は、1947年9月に三幸化工株式会社を創業し、化粧水、香水の製造販売を始めたのが起源。1978年に現社名の法人を設立した。現在、同社を親会社としてピアスグループを形成。100%子会社を含めてグループ会社は29社にのぼる。

ピアスグループの事業内容は、化粧品事業に加えてエステティックなどの美容サービス事業や医科歯科関連品などのメディカル・健康分野事業、不動産事業などを行っており業態は複合化している。特に、1つのブランドや有力ブランドを前面に押し出して事業を行う運営会社(グループ企業)を設立して事業を展開するなど、独自の経営手法に特徴がある。
例えば化粧品事業に関わる百貨店ブランドだけでも約15ブランドにのぼる。その中でも、化粧品中心のブランドは、ファンデーションのエキスパート「カバーマーク」をはじめ、皮膚科専門医と共同研究・敏感肌トラブルに対応した「アクセーヌ」、自社の複数ブランドを取り扱う「パウダーパレット」などがある。

ファンデーションブランドの「カバーマーク」の販売・マーケティング等の事業は、ブランド名と同じ法人名を付けた「カバーマーク株式会社」(大阪府大阪市)が担当している。
メイクアップブランドの「ケサランパサラン」の販売・マーケティング等の事業についても「ケサランパサラン株式会社」(東京都中央区)が担当している。
ピアスグループの高級品ブランドを複合化したショップ「ピアスショップワーク」を百貨店、直営店で事業展開しているのが「ピアスショップワーク株式会社」(大阪府大阪市)が運営しているといった具合だ。だが、ピアス株の100%子会社がどういった企業なのか、必ずしも明確でない。

ともあれ、こうしたブランドに準拠した事業会社の設立・運営は、事業部内に多くの企業を設立して収益を競わせ事業部が経費や収益管理について責任をもって利益を生み出す構図となっている。グループ全体の売上高は、2016年3月期約500億円、2017年3月期約586億円と見込まれている。

1993年12月には、グループ企業が一堂に入居するピアスタワー(写真)を竣工するなど成長の軌跡をたどっている。
しかし、ピアスグループの事業実態については、一般の人には、なじみが薄い。ピアスグループとしてどのような企業がグループに名を連ねているか、名前やその事業実態は知られていない。むしろ取引の現場で社名、特異性等が認識されている状態。

今後とも、事業の成長に合わせたブランドの擁立と新規事業会社の設立は、引き続き旺盛な展開を辿るとみられる。また、持ち株制への移行や上場の動きも注目される。

表に販売チャンネル別主なブランド名、主な事業会社名等を示す。

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