【特別企画】大手各社の化粧品事業戦略に迫る[12] 小林製薬、ジュジュ化粧品に社長派遣、9月に事業開始

2013.07.24

特集

編集部

小林製薬、ジュジュ化粧品に社長派遣、9月に事業開始

スキンケア通販事業50億円規模に膨らむ

小林製薬は、子会社化したジュジュ化粧品に販売部門の責任者を社長として派遣し9月から事業を始めることになった。同社は、ジュジュ化粧品を傘下に入れたことで、スキンケアの事業規模は、売り上げベースで現在の25億円から約50億円に膨らむ。

同社は、スキンケア製品のボリュームアップを狙いに今年6月、ジュジュ化粧品が会社分割した化粧品事業会社の全株式を取得し傘下に入れた。ジュジュ化粧品の会社名と事業内容は、継承する。

9月からジュジュ化粧品のスキンケアを中心とした化粧品事業をさらに軌道に乗せるため、販売部門の責任者をジュジュ化粧品の社長として送り込み、テコ入れを図ることにした。

現在、同社の事業は、家庭用品製造販売事業と通販事業の両輪で事業を展開。家庭用品製造販売事業は、OTC 医薬品、口腔衛生品などを扱い前期(2013年3月期)売上高は1108億円にのぼる。今期(2014年3月期)は、防臭インナースプレイや芳香消臭剤など27品目の新製品を市場投入し売上高1167億円を計画している。

通販事業は、スキンケア製品「ヒフミド」や育毛剤「アロエ育毛液」、栄養補助食品などを通販とダイレクトメールで展開。売り上げの大半を占める栄養補助食品が苦戦し通販事業の2013年3月期売上高は、101億8000万円(前期比1.9%減)となった。

2014年3月期は、年率3増を計画するヒフミドを中心に広告展開を強化し、既存顧客の継続購入や新規顧客を獲得して売上高110億を計画。しかし、同社のスキンケア売り上げ約25億円にジュジュ化粧品のスキンケア売り上げ21億8000万円が上乗せされることからスキンケアの売り上げは、今期約50億円近くに膨らむ。この結果、通販事業の売上高は、今期約140億円程度に増える見通し。

今度、同社がジュジュ化粧品を傘下にした狙いは、通販事業を強化する中長期の経営戦略に基づく。

ジュジュ化粧品新製品開発や企業買収、業務提携を促進して顧客のニーズに対応した品揃えを強化し、海外に新市場を求めることにある。特に、ジュジュ化粧品は、バイオヒアルロン酸を採用した高保湿スキンケア「アクアモイスト」シリーズ(画像)や多くの女性に愛されているロングセラー商品「マダムジュジュ」を主力製品にするなど同社と同じスキンケア製品を扱っていること。また、スキンケアの販売チャネルも通販に特化するなど同一チャネルで販売していること。さらに、同社が保有する「マーケティング力、販売力、研究開発力とジュジュ化粧品が保有するブランド力、研究開発力、製造技術ノウハウを相互に提供し合うことで、スキンケア分野でシナジー効果が発揮できる」と判断した。

一方、ジュジュ化粧品は、ピーク時に売り上げが40億円規模にまで達したが花王などの追撃に合い徐々に業績が下降、今度スキンケアに力を入れる小林製薬に身売りせざるを得なかった。

小林製薬では、開発チームが毎月、経営トップに直接商品開発を提案するアイデア提案や製品化の開発時間短縮、使い方、特徴を分かりやすく表示したネーミング法、社長、役職に関係なく“さん”付けで呼ぶ社風など風通しの良い風土をジュジュケ化粧品にも醸成しながら今後、海外事業を含めてスキンケア製品の売り上げ規模100億円を目指す方針だ。

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