【連載】台頭する創薬・再生医療ベンチャー【6】 シンバイオ製薬、抗がん剤などの開発を強化、自社販売狙う

2013.11.7

特集

編集部

一般的に製薬企業は、10年以上の長期的な研究開発期間を経て新薬の開発、承認を得るため、開発のリスクが極めて高い。シンバイオ製薬は、基礎研究を一切行わず海外から有望な開発候補品や国内の未承認薬を探索し、国内での承認を目指すビジネスモデルを確立。中でも他社から新薬候補品を取得し、ガン、血液、自己免疫疾患の3領域に特化して新薬を開発、製品化する特異性に同社の事業の特徴がある。

2005年3月に会社を設立し、2011年10月に大証ジャスダック・グロース市場に上場した。

同社の事業成長のきっかけとなったのは、2005年2月、独アステラスファーマ社から抗がん剤の日本における独占開発・販売権の供与や、2007年3月に米アベーレ・ファーマシューティカル社から経皮吸収型持続性制止剤のアジアにおける独占開発権・販売権を獲得することが契機となった。この結果、2008 年にエーザイに対して同社が開発した抗がん剤「トレアキシン」(商品名)のライセンス供与が実現。2010 年に厚生労働省より認可されたことで、同年12月から現在までエーザイを通じて「トレアキシン」を市場に投入し、医療機関向けに販売している。

前期(2012年12月期)の業績は、売上高前年同期比3.9%増の19億5千万円、営業損失17億円、当期純損失17億3千万円。今期(2014年12月期)は、抗がん剤や制止剤など保有するパイプラインの適応拡大を狙って開発を強化する。

今期中に、初回治療の血液のガン「低悪性度非ホジキンリンパ腫」及びリンパ球由来のガン「マントル細胞リンパ腫」を対象とする国内承認申請を行う。また、今年5月に治験受理された初回治療のリンパ性白血病対象の国内第Ⅱ相臨床試験を開始。また、骨髄異形成症候群を適応症とした国内第Ⅰ相臨床試験(注射剤)を継続して実施するなど抗がん剤の開発に力を入れて取り組んでいる。この結果、研究開発費が前期並みの14億8百万円、研究開発費を含む販売費、一般管理費が前期比1億6千万円増の23億5千6百万円となることから今期業績は、売上高前期比1.4%減の19億2千7百万円、営業損失18億8千9百万円、当期純損失19億2千6百万円の減収減益となる見込み。

しかし、抗がん剤を中心とした一連の研究開発投資は、次期開発品を自社で販売することが狙い。自社販売を実施することで、高い利益率を達成するとの判断による。今後は、専門的な知識をもつ医療情報担当者(MR)を配置して自社の販売体制を構築し、特定の疾病領域でグローバルな競争力を持つ本格的なスペシャリティ・ファ―マの地位確立を目指す。

シンバイオ製薬の主なライセンス契約
※「連載 台頭する創薬・再生医療ベンチャー」は、隔週木曜日掲載に変更します。

お問い合わせ
シンバイオ製薬株式会社

 

#

↑