連載・異業種から化粧品分野に新規参入した上場各社の化粧品事業に迫る【9】江崎グリコ、化粧原料アルブチン開発で化粧分野参入(上)

2015.01.13

特集

編集部

菓子メーカーの江崎グリコが化粧品分野に参入したのは、健康科学研究所で「グリコーゲン」(ブドウ糖が連鎖状となった多糖類)のスキンケア応用研究を行う中で、化粧品原料「アルファー(α)アルブチン」を開発し、2002年に化粧品メーカーなどに販売したのが始まり。その後、2004年にうるおい成分「EAPグリコーゲン」を開発。2012年10月には、EAPグリコーゲン配合のスキンケア「ジージー」を商品化して市場に投入。以降、現在まで通販ルート限定で全国販売している。

同社の化粧品分野への参入を時系列に見ると化粧品原料「αアルブチン」の開発が化粧品分野参入のトリガーとなった。同社が開発したα-アルブチンは、独自の配糖化酵素(酵素合成法)により、ハイドロキノンにブドウ糖をα結合で転移させた物質。この酵素合成法により、効率的にα-アルブチンのみを量産化することに世界で最初に成功しα-アルブチンの製造方法について国際特許を出願している。また、α-アルブチンが、シミ・ソバカス・日焼けの原因となるメラニンを生成するチロシナーゼに作用してメラニンの生成を強力に抑制する効果があることをスイスのペンタファーム(現 DSMニュートリショナルプロダクツ)と共同で発見した。

2002年より、DSMニュートリショナルプロダクツが美白用化粧品原料として世界中で販売を開始。日本国内は、DSMニュートリションジャパン(株)が販売している。
江崎グリコとDSMニュートリショナルプロダクツは、美白素材として販売を開始するにあたり、α-アルブチンを化粧品に使用する用途についても国際特許を出願している。また、化粧品原料としての販売に際して物理化学的性質や安定性、安全性に関する各種試験ならびに酵素レベル・細胞レベル・ヒトレベルでの効果確認試験を実施しており、これらの試験結果をデータとして取得している。

江崎グリコ、アルファーアルブチンのヒト臨床試験データ同社が行ったα-アルブチンのヒト60人に対して行った美白効果試験では、α-アルブチンを1ヵ月目から他の美白成分に比べて効果的にメラニン生成を抑制し、3ヵ月の試験期間すべてにおいて抑制効果が持続した(データ図)ことが実証されている。
これまでα-アルブチンの製造は、江崎グリコが担当してきたが2012年から子会社のグリコ栄養食品が江崎グリコのライセンスのもとα-アルブチンを生産している。この化粧原料α-アルブチンに続いて新たな化粧原料として「リン酸化オリゴ糖カルシウム」が化粧品に活用できる可能性を秘める。

リン酸化オリゴ糖カルシウムは、でんぷん由来の水溶性カルシウム素材で、すでにデンタルガムの素材に使用されている。水溶性のカルシウムとしての特徴を生かし、食品やオーラルケア用品、化粧品などに活用できる新素材としての期待が膨らむ。

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江崎グリコ株式会社

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