【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【16】サラヴィオ化粧品① ~繊毛の可視化に成功、毛髪研究を最重点~

2016.09.12

特集

編集部

国内有数の温泉地大分・別府で、2006年7月に創業したサラヴィオ化粧品(大分県別府市、社長濱田拓也氏)は現在、別府市内に中央研究所、温泉藻類研究所、温泉微生物研究所の3研究所を持ち、化粧品や毛髪剤等の研究開発型ベンチャーとして飛躍している。

中央研究所は、化粧品開発やバイオ研究の確立を目指すライフサイエンスセンターと皮膚疾患がおこる仕組みを調査・研究及び有効成分がどのように作用するのか、などを研究するスキンサイエンスセンターが連携して、研究・開発に取り組んでいる。

ライフサイエンスセンターが取り組む基盤開発プログラムは、有効成分のスクリーニングやバイオシステムの確立など、新商品の開発に向けた先行研究を行うとともに、タンパク質科学や細胞分裂の研究も行っている。また、化粧品で最も多量に用いられる水の品質と性質などの水質調査や未だ発見されていない生物資源の発見と開発、及び美容と健康のための植物栄養などに取り組んでいる。

スキンサイエンスセンターは、皮膚疾患がおこる仕組みを調査・研究するスキンメカニズムプログラムと有効成分がどのように作用 するのか、を理解する作用機構解明プログラムから成りたっている。 また、ライフサイエンスセンターとの密接な連携によって細胞分裂研究やポス トゲノム時代の中心であるタンパク質科学を皮膚科学に融合させた、世界でも類を見ないサイエンスプログラムにも取り組んでいる。

これまで中央研究所の研究開発の中で世界を凌駕した代表的な研究開発成果は、中央研究所が開発した商品の主成分である「加水分解酵母エキス」「加水分解コラーゲン」「乳酸桿菌エキス」等の開発と作用機序を解明し、発毛剤の開発に繋げたことが大きな成果として特筆される。

繊毛の可視化像・図同社は「加水分解酵母エキスの作用機序」とともに単離培養した毛乳頭細胞から飛び出す繊毛の電子顕微鏡による可視化(写真)と種々の制御因子を加えることで、わずか1.9±1.0マイクロメートルという長さの定量化をコントロールすることに成功した。

毛乳頭細胞は発毛シグナルの司令塔と言われ、ヘアケア研究の中心的存在となっている。毛髪のヘアサイクルは、毛包細胞のシグナル伝達によって支配され、毛乳頭細胞における発毛シグナルの送受信に深く関与していると考えられている。

同中央研究所は、毛乳頭細胞の一次繊毛が毛母細胞及び繊維芽細胞の増殖を制御すること、同時に、この制御にかかわる増殖因子やミトコンドリア活性との関連においても解析することに成功。また、同社が独自に開発した化粧品原料「加水分解酵母エキス」が繊毛を伸長するほかミトコンドリアの量を増やすなど、機能評価を明らかにしたことなどが評価されて英国・エジンバラで行われた第7回世界毛髪研究会議(2013年5月)で最優秀賞を受賞している。

同社は、数々の研究プロジェクトの中で、毛髪研究が最も注力を注いでいる研究のひとつとなっている。

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