【連載】化粧品・美容関連ベンチャー企業の成長軌跡【31】丸海きあら② ~月桃蒸留液、アクネ菌等の殺傷実証、待たれる経営戦略~

2016.11.18

特集

編集部

丸海きあらは、沖縄に自生する月桃を使用したコスメの開発と事業化計画が沖縄産業振興公社の「OKINAWA型産業応援ファンド事業」(地域資源活用支援事業)に採択され、化粧品事業を後押した。

「OKINAWA型産業応援ファンド事業」(地域資源活用支援事業、新商品開発等支援事業、売れる化支援事業)は、沖縄の重点産業(健康・バイオ・観光環境野等)に係る新製品の開発や地域資源を活用した新たな発想や工夫による新商品・新サービスなど、地域活性化に繋がる取り組み等に対し、補助金及びハンズオン支援(販売・販路開拓)が受けられる制度。

無題同社は、月桃コスメの商品開発プランが2013年度の「地域資源活用支援事業」に採択され、助成金を活用して公的試験機関や大学等で、月桃濃縮液〈蒸留液〉の殺菌効果に関わる実証試験(エビデンス)を行った。
日本食品分析センターに殺菌効果に関する試験を依頼した。その結果、月桃蒸留液に歯周病菌やニキビの原因とされるアクネ菌に対する殺菌効果があることがわかった。また、歯周病菌を1分から5分で死滅させるなど殺菌効果があることも判明した。
琉球大学との共同研究では、月桃蒸留液及び残渣ペーストにメラニンの合成を抑制する成分の存在が明らかになった。図に月桃蒸留液の殺菌効果を示す。

こうした機能性がある月桃液を配合して商品化した化粧品品目数は、月桃液をはじめ月桃液とジェルをたっぷり混ぜて保湿性を高めたシートマスク、歯磨き粉やマウスウォッシュ、ローション、クリームなど10品目に上る。また、商品化した化粧品の拡販を図るため、ネット通販での販売やアンテナショップを那覇市内にオープン(2012年8月)して対面販売するなど、販売体制を整えた。

今後は、自社化粧品の訴求力向上とテレビショッピングなどの販路開拓による国内市場の開拓、及び中国などへの海外展開など具体的な販売戦略や新製品の開発・市場投入などが待たれる。特に、新技術・新製品の開発は、自社の技術力をいかに高めていくか、技術者の確保による強化が焦眉の急といえる。

新技術・新製品開発、海外を含む販売体制、人員体制、業績目標等を策定した経営の羅針盤「中期経営計画」を立案し、戦略に基づく攻めの経営が求められる。

これまでの立ち上げ時の創業時代から本格的に事業を軌道に乗せて収益を図る成長時代へ転換を図って行くための具体的な姿が見えない。

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