【連載】大手化粧品会社の研究㊲日本コルマーの会社研究 ~OEM・ODM提案とワンストップサービスに磨き~(上)
2018.07.16
編集部
日本コルマー株式会社(大阪府大阪市、未上場)は、1912年(大正元年)創業の化粧品・医薬部外品等のOEM(Original Equipment Manufacturing=委託者商標による受託製造)・ODM(Original Design Manufacturing=委託者ブランドによる製品設計・生産)企業。
業務内容は、薬事法等 関連諸規制対応手続き、新製品のコンセプト設計、処方開発、有用性評価、原料資材の調達、完成品までの一貫生産、品質管理など、新製品のコンセプト設計から処方開発、原材料調達、完成品の生産に至る「ワンストップトータルサービス」を主力ユーザーの化粧品ブランドメーカー等に対し提案し営業に磨きをかけている。
化粧品の開発から生産までを一貫して担うことによって顧客企業がリスクの高い開発、生産等を行うことなくマーケティング、販売に経営資源を集中させ効果的に業績の向上につなげる効果をうみだしている。
現在、生産拠点は、国内に八尾、柏原、出雲、静岡、結城、伊賀、広島に7工場と韓国に合弁会社「韓国コルマー」と中国・蘇州に科瑪化粧品(蘇州)有限公司を設立。「韓国コルマー」は、1996年8月にK0SDAQ(店頭市場)に上場後、2003年4月に韓国証券取引所に上場し、株式を公開している。また、株式会社コーセー(東京都中央区)が中国・杭州市に設立した生産子会社「高級化粧品」の下沙工場を2017年10月に譲渡を受けて稼働するなど、基礎化粧品からメークアップ化粧品、頭髪化粧品、ネイル化粧品、フレグランスまで、あらゆる種類の化粧品をユーザー対応の数量単位で生産できる体制を整えている。
同社が採用しているクライアントとの商談の進め方は
①クライアントと打ち合わせ段階で、ニーズを把握し、要望に沿う商品コンセプトを提案する
②コンセプトに沿う効能・効果、香調、使用感等の処処方開発や容器の形状、デザイン及び包装資材等の使用を提案する
③開発された処方に基づき試作を行う。同時に、仕様の選定、容器の探索を行う
④処方・容器決定、最終見積りを行う
⑤決定した処方・容器での安定性試験および薬事法に沿った申請を行う
⑥注文数量を製造し納品する
⑦リピート注文の対応やリニューアル案および新製品を提案するなど。
こうした商談は、同社の事業の強みを象徴している。
事業の強みとして
①化粧品の設備、技術、実績などを踏まえあらゆる化粧品の生産が可能
②米国コルマー社と長年にわたる業務提携関係があり海外の化粧品市場や製品情報が豊富に入手できる立場にあるなど豊かな国際性に富み、多くの海外有名ブランドメーカーの化粧品を生産してきたノウハウを持っている
③ワンストップトータルサービスを確立し、同社一社だけの商談で商品調達を可能としている。