【連載】大手化粧品会社の研究㊷菊星の会社研究 ~美容専門商社と化粧品メーカーのビジネスモデル構築~(上)
2018.08.6
編集部
現在、日本国内には、30万を越える美容室・理容店がありサービス産業の業種別では最大級の店舗数を有している。また、理美容サロンと顧客の関係は、人々の生活に密着した魅力的な市場といえる。
こうした中で、株式会社菊星(東京都台東区、未公開)は、1924年に創業以来「美容専門商社」と「化粧品メーカー」の機能を合わせ持つ独自事業を展開。同時に、理美容サロン流通網の構築に取り組み、現在では、日本全国の代理店1000社を経由して約20万店以上の理美容サロンに商品を流通させる流通網を完成させた。
同社のビジネスモデルは、ニーズ起点のメーカー&商社という基本に立脚して
①日本、世界のメーカーから商品を仕入れ、日本中のヘアサロンへ美容に関する商品を届ける
②ニーズがあってもそれを解決する商品が世の中に存在しない場合は、自らチャレンジしてニーズを満たす商品開発を行い提供する
③美に関するすべてのニーズを満たす事が使命であり、それを実現可能にするビジネスモデルが「メーカー&商社」であるいうもの。
このビジネスモデルに立脚して同社は、美容専門商社として美に関するあらゆる商品や情報を国内はもとより世界中のメーカーから仕入れて提供している。
そのため、仕入れ先のメーカーとパートナーシップ契約を結びwin-winの関係を確立している。
同社がメーカーと取り交わしているパートナーシップ契約は
①ユ―ザ―の立場に立ったコンプライアンスを最重要に考えた仕入を実践
②仕入先の意向を尊重した秩序をもった販売を心掛ける
③仕入先から仕入れた商品の価値がクライアント等に理解・浸透するよう商品特性等を勉強する
④仕入先から仕入れた商品の育成を心掛けた営業活動を行う
⑤顧客からの意見やクレームなどを真摯に受け止め、それらの声を仕入先にフィードバックし、仕入先、メーカーが改善や改良に役立つ情報提供を心掛けるなどの内容となっている。
ともあれ、全国1000社のディーラー(代理店)を通して、20万店にも及ぶヘアサロンに対して世界中から仕入れた商品を卸販売している美容専門商社の機能とその一方で、既存の製品でニーズが満たされない場合は、オリジナル商品を開発し、提供するというメーカー機能の側面も持つ。
こうした2つの顔を使いながらビジネスに一段と反映させて収益の向上につなげることができるか、今後の事業展開が注目される。