【連載】大手化粧品会社の研究㊺グラツィアの会社研究 ~薬物伝達、ナノテクなど独自の技術で幹細胞コスメ開発~(下)

2018.08.28

特集

編集部

グラツィアは、幹細胞コスメ「ディレイア」を開発するに当たって、薬物伝達システム「ドラッグデリバリーシステム」や有用成分を肌の奥まで届ける「イノベーティブ3Dナノテクノロジー®」など独自の技術を駆使して実用化した。
薬物伝達システムは、同社が独自に開発・命名した「トランスダーマルドラッグデリバリーシステム=TDDS」のこと。
TDDSは、高濃度に配合した有用成分を安定的に長時間、一定して届けることが可能な経皮送達システム。安全性に優れ、高い浸透力でスピーディな作用、肌再生、アンチエイジング等を実現する。
商標登録した薬物伝達システム「イノベーティブ3Dナノテクノロジー®」は、皮膚を経由して浸透性を向上させる目的で開発された技術。
スキンケアの浸透性を増大させるため、超低分子ゲルを直径約5ナノのファイバー網目状に角質層にとどまるようにした。いわば、両親媒性超低分子化合物が自己組織化してファイバー状になって絡み合い、網目構造を形成してゲル化する。
これによって特殊な基材として耐酸性が高く、親水性・疎水性両成分の高配合化を可能とした。

同社は、ヒト皮膚による浸透テストとして皮膚浸透性試験「 0.2%蛍光ラベル化ヒアルロン酸含有OA-03ゲル=ヒト皮膚」を行った(図・皮膚浸透試験参照)。その結果、ヒアルロン酸含有ゲルが角質層に浸透し合わせてヒアルロン酸が皮膚の中へと吸収されていくことを実証した。

「イノベーティブ3Dナノテクノロジー®」をディレイア化粧品に採用したメリットとして、目的とする部位へ確実に届けるナノファイバーが角質層でゲル化することで、長時間定的に有用成分を届ける。また、界面活性剤を使用することなく肌に浸透し、安全性が高い両親媒性のペプチド脂質は肌に安全で敏感肌に対しても優しく高い効力を発揮する。さらに、効果をスピーディに実感できる皮膚組織と有用成分が持つ機能を発揮させるなど。

同社が2015年から市場に投入したヒト幹細胞コスメシリーズ「ディレイア」は、現在でも全国のエステサロンを中心に根強い需要を誇る。幹細胞コスメとしてさらに差別化を図れるか、注視されるところだ。

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