【連載】大手化粧品会社の研究(69)ナックの化粧品事業に関わる会社研究 ~JIM0S、インフィニティー等を買収、化粧品事業に参入~(上)
2019.01.10
編集部
宅配水やダスキン等の事業を行う株式会社ナック(東京都新宿区、東証1部上場)は、2013年6月に化粧品や健康食品の通販事業を行う株式会社JIMOS(ジモス、福岡県福岡市)を買収して子会社化(連結)し、化粧品分野に新規進出した。また、2018年10月には、JIMOSを通じて化粧品ECサイトを運営するインフィニティービューティー株式会社(東京都大田区)を買収(買収額非公開)して子会社化するなど、相次いで化粧品事業の強化を図った。
ナックによるJIMOSの買収は、親会社株式会社サイバードホールディングス(東京都渋谷区)からJIMOSの株式を約60億円で取得し、完全子会社化した。
同社がJIMOSを買収したのは、通販よりも伸びシロのある化粧品事業に注目して買収を決めた。中でJIMOSが保有する顧客層・ターゲット層も魅力だった。
ナックは、ダスキンのレンタルサービスや宅配水事業など既存事業で直販と代理店を含めて、約80万件の顧客に2週間ないしは4週間ごとに定期訪問してサービスを行っている。そうした顧客に対し、単に1つの商品を提供するよりも様々な商品を紹介する新手のカタログ通販事業を計画した。
一方、JIMOSの場合、40~60歳代くらいまでが化粧品の主力ターゲットとなっている。この層は10年、15年先に日本において消費層の中心となり、消費を拡大していくことが想定された。
それを踏まえて同社は「化粧品に関して既存事業との親和性が高くグループとしての成長戦略を考えた場合、既存事業との相乗効果を発揮できる」として買収に踏み切った。
さらにナックは、2018年10月に連結子会社のJIMOSを介して、美容材料、化粧品卸及びネット利用の通販事業を行うインフニティービューティー株式会社(東京都大田区、2011年設立)を買収して傘下(子会社)に収めた。
買収は、モール型ECサイトでの販売ノウハウを獲得し、販路拡大を図ること。同時に、ナックが持つオリジナルブランドの商品開発及び自社ECサイトによる通信販売ノウハウをインフィニティービューティーに提供することで、同社の商品ラインナップの拡充と販売力強化を図るのが狙い。買収時におけるインフニティービューティーの売上高は、約26億6000万円に上る。