【連載】化粧特許と知的財産権②ファンペック、知財権を生かしペプチド化粧品を共同開発(中)
2019.05.16
編集部
ファンペップは、2008年から2018年まで10年間で、「ポリペプチド及びその抗菌または消毒用途」「メチニオン・スルキシドを含む新規ポリペプチド」など合計6件の特許を取得している。
2013年年7月には、コラーゲンゲル収縮活性、ヒト皮膚線維芽細胞増殖活性およびヒアルロン酸産生活性を有する抗菌活性ポリペプチドを含有するスキンケア剤を開発し特許を取得した。
こうした特許に裏付けられた知的財産権の活用をベンチャー企業ならではのスピードと効率化を活かしながら知財活動を展開している。
同社は、2016年5月に森下仁丹株式会社(東京都千代田区)と共同で「食卓用除菌スプレー」と「マウスウォッシュ」を商品化し、森下仁丹が市場で販売を開始した。
「食卓用除菌スプレー」は、食卓やデスクなど雑菌が増えやすい箇所にスプレーし、ティッシュや布でふき取ることで、簡単に除菌することができる。また、携帯サイズなので外出先でも手軽に使用可能。
「マウスウォッシュ」は、刺激が少なくマイルドな味のため、食事前でもマウスウォッシュの味残りを気にせず使用できる。口中の汚れや臭いをスッキリと落とし口臭を防ぐ。現在、2製品とも通販や医科向けルートを中心に販売している。
さらに、ファンペップは、2016年6月に株式会社ファンケル(神奈川県横浜市)との間でファンペップの機能性ペプチドの化粧品開発に関する提携を行った。
ファンペップが一連の知的財産権を保有する天然型アミノ酸から構成される新素材ペプチドについてファンケルとの共同研究を進めた結果、オリゴペプチドの1種に皮膚の老化予防や肌荒れ改善に有用な作用を有することが見いだした。
これを踏まえて両社は、化粧品やヘルスケア用品として実用化するための研究開発を進めることにした。
今回の提携により、ファンケルおよびファンペップは、両社が持つそれぞれの研究開発ノウハウを共有して、化粧品原料及びそれを配合する製品開発を進めている。特に、ファンケルが展開するスキンケアやヘアケア分野等において、オリゴペプチド含有化粧品の開発に力を入れて取り組んでいる。
同社は、こうした知財活動を最大限に効率化させていくために、勝てる知財の特定とスピーディーな出願を重視。ベンチャー企業ならではのスピード感のある研究開発や社長・研究者・知財部が一体となった意思決定を活かし、いち早く新薬、化粧品を開発してマーケットを勝ち取ろうという知財戦略を展開している。
同社の研究は大学が開発した創薬エンジンを活用した創薬が中心だが、医薬品は売上を回収できるまでのスパンが長期にわたるためリスクが大きい。
そのため、研究の過程で生じたペプチドから、機能性化粧品などに適したものは化粧品へ展開。創薬事業と化粧品事業の2つの軸で事業を推進している。