化粧品ECの現状と課題⑦化粧品ECの現状と課題 ~柳屋本店、中国のECサイトに出店し拡販図る~

2019.12.19

特集

編集部

株式会社柳屋本店(東京都中央区)は、1615年に創業し2015年で創業400年を迎えた国内最古参の化粧品メーカー。
現在の主力商品は、ヘアオイルの「あんず油」や頭髪用育毛剤の「フレッシュトニック」等があり、整髪料「ヘアグリース」も需要が高まりつつある。
これらの商品についてドラッグストアを中心に、ホームセンターや化粧品店、ECサイト等など様々なチャネルで販売している。
中でもネット通販に活用しているのが国内のベンチャーが開発したクラウド型ECプラットフォーム「エビスマート」の採用・導入。

同社がエビスマートを導入したのは、従来のシステムがコスト面で課題があり、リニューアルを検討する中で、カスタマイズができること。また、サポート面でのサービスがあることや既存システムと比べてコストダウンできることなどから採用を決めた。
導入後の効果としてクレジットカード対応やスマートフォン対応の影響で、新規顧客獲得に繋がったほか直近では、多言語対応のリニューアル化を図るなど海外対応を強化した。

ところで同社は、海外展開を重要な戦略と位置付け、中国ネット通販の最大手アリババグループが運営する中国最大のECサイト「天猫」(テング)に出店した。2019年5月から運用を始めている。テングに出店することで、中国国内の一般消費者を取り込み需要拡大に繋げる狙い。

ECサイト「テング」は、中国国内のB to Cネット通販市場で、過半数のシェアを誇る。経済産業省の調査では、2018年度の中国オンライン市場は、165兆円市場を形成。その中で、アリババグループのECサイト「テング」がB to Cネット通販市場の52.5%を占めるなど過半数のシェアを占めている状況にある。

同社は、ECサイトへの出店と合わせて2019年5月から中国国内の小売店ルートでヘアトニック「柳屋ヘアトニックOR」の販売を始めた。
柳屋ヘアトニックORは、3種の薬効成分と生薬抽出成分を仕立てたもので、毛根に浸透し、抜け毛を防いで発毛を促進する特徴がある。
日本国内で販売していたヘアトニック「柑橘」を中国の法規に準じてパッケージデザインしたもの。中国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)から中国国内で販売する許可が下りたことから中国国内の小売店ルートで販売を始めた。
中国向け化粧品としては、2018年4月から中国国内で販売している「柳屋ヘアトニックNFCT」続く第2弾の商品。

こうした同社の中国での小売店販売とeコマースの両肺体制で、中国での化粧品販売に力を入れようというもの。同社は、すでに台湾や東南アジア、米国など20ヵ国を超える国で化粧品等を販売している。

こうした中、インフラ面を整えながら、中国をはじめとした海外市場で化粧品販売の実需をどの程度、結びつけられるか、商品の認知度とブランド化の両面から今後の展開が注目される。

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