【連載】この中小化粧品会社に注目㊱フローレス化粧品(下)~再生なるか、それともバイアウトか~

2021.02.2

特集

編集部

フローレス化粧品を買収した日本創生投資は、事業承継や事業売却、事業再生分野を主体にファンド投資を行う。投資形態として事業譲渡投資やMBO投資、転業・廃業支援投資などがある。

買収当時のフローレス化粧品の事業規模は、社員5名、資本金2000万円、2018年3月期の決算(官報掲載)は、純利益6390万円、利益剰余金約4憶円、総資産4憶4700万円に上る。
こうした業績の中で日本創生投資は、経営不振に陥ったフローレス化粧品の経営、事業を活性化して再生することを目的にファンド投資、事業譲受、ハンズオン支援を行った。

一般的に、ハンズオン支援は、ハンズオンそのものの変革のスピードが速い一方で、役員と社員間の対立が生まれやすい点にその特徴が見られる。
そのためM&Aや投資を行う際は、明確な目標を定め、企業内での行動規準を確立することが必要になる。また、買収した企業に変革を許容するよう促すとともに、人材の入れ替えを早めに進める必要に迫られる。

ハンズオンのメリットとして投資ファンドは、投資先企業の経営をよりスピーディーに変革できることが上げられる。
特に、投資先企業の経営状況が悪化している場合、早期の体質改善によって事業育成や再生が早く進むことになる。
早い段階から利益を創出し、投資の回収を狙う再生ファンドの場合、このメリットを見据えてハンズオンを行うケースが多い。

一方、ハンズオンのデメリットは、買収先の社員との間で対立が起こりやすいことがある。
買収された企業の場合、出資企業から送り込まれた経営責任者と買収された企業の社員との間で、経営に対しての見解の相違が生じトラブルが発生するケースが多い。トラブルが起きていることは、一般的に表面化しないため、把握しにくいのが実態。

こうした対立を防ぐためファンド投資会社は、買収した企業に対して明確な目標を提示し、改善に対する方針について理解を得ることが重要になる。

いずれにせよ、経営基盤の強化や新事業展開などのハンズオン支援でフローレス化粧品は、成長の軌跡を歩むか、それとも再生できず他社に身売り(バイアウト)するか、今後の動向が注目される。

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