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パーソナライズと新テクノロジーが導く次世代フェイシャルケア


執筆:Valérie Desmaisons-Bouthier氏(Perfectis Formations 創設者、美容サロン支援の専門家、研修講師であり、日常業務を支援するために設計されたサブスクリプションサービス Perfect’Pro の開発者。)

フランス市場におけるフェイシャルケアの成長と現状

現在フランスにおいて、美容サロンでのフェイシャルケアは市場全体の20%を占めており、そのうち8%は新しいテクノロジーによるものです。特にアンチエイジング分野は30%のシェアを持ち、フェイシャルケアはサロンで最も多く行われる施術分野として確立されています。これは数年前まで多くのサロンにおいて脱毛が主な収益源であったことを考えると、非常に興味深い変化といえます。

コンサルテーションの重要性―顧客満足とサロン経営に与える影響

フェイシャルケアにおける必須の技術について語る前に、まず欠かせない要素があります。それは施術前に行うコンサルテーションです。研修の場でも、一部の受講生がこのプロセスを十分に習得していないことが見受けられますが、専門家としての立場を築く上で不可欠なステップです。

診断を行わない場合のリスク

初期診断が不十分、あるいは診断を行わないことで、収益や認知度、さらには顧客を失う恐れがあります。

顧客の要望通りの施術だけを行い、現状を確認しないまま進めてしまうと、期待する結果が得られず、自宅でのスキンケア提案も困難になります。

一方で、しっかりとした診断を行えば、肌の状態や必要性を明確に説明できるため、提案する商品を購入してもらいやすくなります。

また、月に1回程度のフェイシャルケアでは特定の肌悩みに十分対応できません。複数回の施術を組み合わせたコースやパッケージを提案することが必要であり、その説明はコンサルテーションの段階で行うべきです。事前の診断を省略してしまうと、結果として数ユーロから数千ユーロの損失につながる可能性があります。

診断がもたらす利点

アンチエイジングを含むフェイシャルケアの専門家として認知されるためには、顧客体験のプロセスを徹底する必要があります。コンサルテーションを通じて、問題を理解し、肌を分析し、改善に向けた具体的な助言を行うことで、顧客にプロフェッショナルとしての信頼感を与えられます。

この段階を経ることで、顧客は「ここを選んで正解だった」と確信します。

同時に、顧客と施術者の間に「契約」にも似た信頼関係が生まれます。施術者は最適なケアを提供することを約束し、顧客は自宅でのスキンケアを忠実に実践することを約束します。このプロセスを軽視すると、期待された成果が得られず、結果的に評判を損なうリスクがあります。

適切に行われたコンサルテーションは、サービスの価値を大きく高めます。顧客が満足し、成果を実感すれば、長期的なリピートにつながるだけでなく、口コミによる新規顧客の獲得にも直結します。その結果、フェイシャルケアにおける地域の“信頼される拠点”としての地位を確立できるでしょう。

したがって、施術メニューを拡充する前に、まずはコンサルテーションの技術をしっかりと習得することが重要です。これにより顧客の満足度とリピート率を高め、サロン経営において大きな成果を得られるはずです。

フェイシャルケアを変える新しいテクノロジーの活用と可能性

新しいテクノロジーの登場は決して昨日今日のことではありませんが、Covid以降、この動きが加速していることが確認されています。これらのテクノロジーは次の点で大きな強みとなります。

フェイシャルケアの結果を最大化する

一部のテクノロジーは手技を補完する完璧な手段となります。肌の奥深くに働きかけ、得られる結果を向上させ、顧客の満足度を高めることができるからです。さらに、手技では肌を整えるのに時間を要する場合でも、最新のテクノロジーは忙しい顧客に対して迅速な効果を提供することが可能です。

大きな利益を生み出す

また、これらは短時間で高い売上を生み出す手段にもなります。特に「ハンズフリー」と呼ばれるテクノロジーは、同時に複数の施術を行えるため最も収益性が高いとされています。一方で、たとえ操作に時間や手を要する機器であっても、プロフェッショナル専用という独自性が高付加価値を生み出し、より高単価で提供できるサービスとなります。

顧客に包括的な提案を行う

さらに、こうしたテクノロジーは複数の施術を組み合わせたケアプログラムを提案することを可能にし、結果を出せる確率を高めます。また、美容サロンが競合する美容医療クリニックとの差別化にも役立ちます。近年、医療機関が高性能な機器を用いた施術を増やし、そうした機器に魅力を感じる顧客を引き付けていますが、新しいテクノロジーを導入することで、そうしたニーズにも対応できるのです。つまり、手技よりも機器に関心を寄せる顧客層に対しても、十分な満足を提供できる体制を整えられるということです。

購入前によく検討する

新しいテクノロジーは、導入時の費用が依然として高額です。したがって、新規機器の導入を決める際に、衝動や流行に流されないことが重要です。まず自問すべき要点があります。すでに提供しているメニューにどのような付加価値をもたらすのか。どのような結果を期待できるのか。どれくらいの期間で投資回収が可能なのか。

非侵襲ケアを支えるフェイシャル手技の種類と効果

手技は施術者にとって最大の強みであり、この職業の基礎教育の一部をなしています。ここ数年でフェイシャルマッサージの台頭により、この技術が改めて仕事の中心に据えられるようになりました。顧客は、目に見える持続的な結果をもたらす非侵襲のケアを求めています。近年、顧客からの強い需要を背景に、これらの新しいテクニックを学びたいという多くの施術者を私たちは迎えてきました。研修後は、非侵襲で独自性のあるテクニックを提供し、目に見える持続的な結果を示すことが可能になり、長期的な顧客の定着につながっています。

欠かせない手技

必須テクニックのなかでも、Kobido は外せないフェイシャルマッサージとして位置づけられます。さらにフェイシャル系のテクニックが優れている点は、より広範な可能性を提供できることにあります。

リンパドレナージュ

あらゆる肌タイプに適しており、体液の流れを整え、肌をデトックスし、トーンを明るくします。若い肌にも実施できますし、アンチエイジングのコース導入にも適しています。

筋肉ストレッチ

皮膚のたるみを深部から整え、輪郭をリモデリングするために欠かせないテクニックです。筋肉そのものに働きかけ、線維の萎縮や収縮をケアすることで、皮膚の適切な保持を促します。

口腔内マッサージ

口元周り、ほうれい線、フェイスラインを内側からケアする手法です。口腔内から顔の筋肉に直接アプローチするため、強張りをより効果的にほぐせます。抵抗を感じる方もいますが、得られる結果については顧客の評価が一致しています。

ツールの活用

ツールはフェイシャルマッサージにおける手技の不可欠な一部であり、結果を高める強力な補完となります。グアシャが最も知られていますが、同等に効果的なツールは他にもあります。こうしたテクニックは知名度こそ高くないものの非常に有効で、顧客の期待に応じてより的確な提案ができます。その結果、フェイシャル領域での顧客体験を向上させられます。多くの顧客はこれらすべてのテクニックをまだ知りません。さらに、競合との差別化にもつながります。多くの施術者が Kobido の習得で止まってしまう一方、そこで終わらせない点が強みになります。

フェイシャルケアを進化させるパーソナライズド・オーダーメイド・シグネチャーの提案

最近の調査によると、テクノロジーとナチュラル志向に続き、オーダーメイドのパーソナライズドケアがフェイシャル分野における主要ニーズとして挙がっています。顧客は選択肢に精通し、期待も高まっており、自分のニーズに合わせた具体的で個別の対応を求めています。

時間を売る

Perfectis Formations では、受講生に対してケアメニューを根本から見直し、顧客には「時間」だけを提示する構成にするよう提案しています。これにより、定型のプロトコルから離れ、常に顧客のニーズに完全に合致したケアを提供できます。実際に、複数のテクニックを一つの施術に組み合わせ、その時点の肌状態に的確に応える独自のマッサージプロトコルを作る施術者もいます。

パーソナライズドケア

顧客の期待と肌のニーズに応じて化粧品中の有効成分の選択を調整するものです。消費者の関心が高まっている提案です。

オーダーメイドケア

ケアの最上位に位置づけられます。パーソナライズに加えて、化粧品だけでなくマッサージテクニックや手持ちのテクノロジーも調整し、顧客に唯一無二の体験を提供します。その時のニーズに完全に合わせた施術となり、あなたは全方位に対応できることを体現します。顧客には、あなたは唯一無二であり、提供するケアも唯一無二であるというメッセージが伝わります。この体験により、専門センターとしての地位が確立され、評判が強まります。

シグネチャーケア

メニューに欠かせない存在です。自らの技術の幅を顧客に示すことができます。著名シェフのシグネチャーディッシュになぞらえられるこのタイプの施術は、あなたの美容サロンを上位の領域に位置づけ、顧客の心に排他性の印象を刻みます。

パーソナライズド、オーダーメイド、シグネチャーの各ケアをメニューに掲載することができます。ただし、多くの場合、顧客はあなたの技術を信頼し、毎回必ずしも自分で施術を選びたいとは考えません。選択をあなたに委ねたいという意向が見られます。最終的に選択の決め手になるのは、自分に割きたい時間と価格です。

型にはまらない提案を―専門性を高めるためのオリジナルメニュー提案と理想のケア

差別化を図るには、常識の枠を超えたメニューを顧客に提示し、分野の専門家としての立ち位置を明確にすることが不可欠です。Perfectis Formations の見立てでは、他より絶対的に優れた唯一のテクニックは存在しません。あなたこそが施術を唯一無二の体験へと昇華させ、フェイシャルケアの不可欠な存在となります。持てるテクニックとテクノロジーを大胆に組み合わせて、毎回異なる施術を提案してください。顧客は訪れるたびに新しい体験を求めて、また来たいと感じるようになります。

理想のケアとは

理想のケアは、最新テクノロジーや流行のマッサージ、話題の化粧品をただ集めたものではありません。顧客の要望に的確に応えるために、それらをあなたがどう活用するかにかかっています。施術を終えて部屋を出たとき、顧客が「わあ、肌が輝いている。あなたの手に委ねた時間は特別だった。まさに必要としていたことが叶った」と言ってくれたなら、あなたは十分に役目を果たしたと言えるでしょう。


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編集部(フランス)

Les Nouvelles Esthétiques編集部(パリ)…1952年にフランスで創刊されたLes Nouvelles Esthétiques社が発行する美容技術者や経営者向けの専門誌。本誌は、美容、健康、ウェルビーイングに関する情報を提供しており、世界20数か国にライセンスを供給するなど、国際的に展開する美容専門メディアとして広く認知されています。

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