EFTは、数十年来にわたり医療分野で活用されてきた感情解放の技術です。近年では美容サロンにおいても導入が広がり、精神的な不調、肌トラブル、スリミングに関する悩みなどに起因するブロックを乗り越える手法として注目されています。
執筆:Laetitia Roméo
美容と健康に役立つEFTの効果と実践方法
EFT(Emotional Freedom Technique、感情解放テクニック)は「タッピング」とも呼ばれる短期的な心理エネルギー療法であり、心身に働きかける心理的アプローチです。Roger Callahan博士の研究を基に、エンジニアのGary Craigが1995年に開発したこのプロトコルは、心理的・身体的・感情的・行動的な不均衡を扱うことを目的としています。
100件を超える臨床研究によって効果が認められており、EFTは古代から伝わる鍼灸や指圧の原理と、認知行動療法を組み合わせています。認知行動療法では、トラウマ記憶に結びついた否定的な思考や不適切な行動を解除し、現実に沿った新しい健全な反応や思考へ置き換えることを目指します。
実際のEFTの流れ
EFTの施術者は、クライアントに自分の課題に関連した中立的で肯定的なアファメーションを唱えるよう促します。その際、顔や身体の経絡に沿った特定のポイントを優しくタッピングします。
EFTの実践は中国伝統医学と心理学に基づいており、目的はエネルギーの滞りを解放し、過去の体験に伴う感情的ショックを処理しやすくすることにあります。
EFTの効果
EFTは不安、うつ、恐怖症、心的外傷後ストレス障害などの心理的トラブルを改善します。ストレスの生物学的指標であるコルチゾールの濃度を下げることが確認されています。タッピングの反復は、怒り、恐怖、嫉妬、自信の欠如といったネガティブな感情のコントロールにも役立ちます。パニック発作、喪失体験、疲労、摂食障害の改善にも有効です。依存症の克服に活用され、禁煙や衝動の制御をサポートします。
身体面では、慢性的な痛みや不眠、乾癬やアレルギーといった自己免疫疾患の軽減に寄与し、仕事やスポーツにおけるパフォーマンス向上も期待できます。さらに、医療的なサポートと併用することで治療効果を高め、副作用を軽減することが可能です。
サロンケアにEFTを取り入れるメリットと効果
サロンケアに心理的アプローチを取り入れる意義
TechniHomeSpaを経営するJenny Debus氏にとって、顧客の自己成長はウェルビーイングの施術と切り離せない要素です。この考えから彼女はEFTを学びました。心身両面に作用するこのアプローチは、内面的な健康と施術結果をつなぐ架け橋となるからです。
実際、抑圧された感情やストレス、トラウマ、制限的な思考は自己肯定感や自己イメージに大きく影響します。このような精神状態は、生物学的に肌の質を低下させ、老化を早め、体重の問題を助長し、全体的な健康を損なう要因となります。しかし、こうした問題の感情的な根源を探るには一定の正当性が求められます。
EFTの効果
EFTによって、従来クライアントに行われていた表面的な質問や診断(肌質、職業、年齢、美容習慣など)を超え、感情面に寄り添ったアプローチが可能となりました。こうした個別化された感情の調整により、美容施術の効果は一層高まっています。
感情が肌の輝きに与える影響
クライアントの肌の状態や輝きは、感情のマネジメントと密接に結びついています。近年の研究では、感情の有無によって肌の色調が変化することが示されています。怒りや嫌悪感では赤みや緑がかり、抑うつ状態では灰色がかった肌色に、恐怖では青白さが目立ちます。
EFTの効果
感情が神経系に伝わると、皮下の血流量が変化し、肌色が影響を受けます。EFTはこの反応を調整することで、肌の輝きを維持する助けとなります。
ストレスから肌を解放して健やかに保つ
精神皮膚医学の分野によると、多くの皮膚トラブルは感情的な不調や過度のストレスに関連しています。このような状態はコルチゾールの過剰分泌を招き、炎症や老化、乾癬、アトピー性皮膚炎、ニキビ、円形脱毛症、かゆみや発疹を引き起こしたり悪化させたりします。例えば、湿疹は不安やうつと関連しているケースが多く報告されています。
EFTの効果
それぞれのクライアントの人生背景と肌診断に基づいて構築されたEFTプロトコルは、アトピー性、ニキビ肌、敏感肌、赤みが出やすい肌に対するフェイシャルケアの効果を高める有効な手段となります。
スリミング施術の結果を高める
EFTは、体重にまつわる深層的な要因に働きかけることで、スリミング施術の結果を向上させます。体重の問題はしばしば感情の不均衡や衝動のコントロールの難しさ、自己肯定感の低さに関連しています。悲しみや恐怖、挫折感、怒りなどのネガティブな感情やストレスは、心の不調を補うためにジャンクフードなどの過食衝動を増加させます。
EFTの効果
クライアントの食習慣に合わせたタッピングのラウンドは、挫折感などの否定的な感情を解放し、間食や甘味の過剰摂取を抑えます。クライオリポリシスやリンパドレナージュなどの施術と並行して取り入れることで、食習慣の悪循環を断ち切り、体重増加や脂肪の過剰蓄積、リバウンドといった根本原因を長期的に改善する効果が期待できます。
絶えず考え続けるクライアントをリラックスさせる
慢性的なストレスや不安は、筋肉の緊張、背中の痛み、偏頭痛、不眠症につながります。マッサージは身体のこわばりをほぐし、リラックスさせることはできますが、必ずしも心を落ち着けることにはつながりません。特に、思考を止められず、なかなか心身を解放できないクライアントの場合がそうです。
EFTの効果
EFTはこうした不調の深層的な原因に働きかけ、抑圧された感情を解放し、精神的負荷を軽減し、深いリラクゼーションへ導きます。タッピングを繰り返すことで、入眠困難や夜間覚醒、不眠といった問題が次第に改善され、クライアントは回復的な睡眠を取り戻すことができます。
自尊心と内面的な美を高める
施術や使用する製品の質がどれほど高くても、クライアントの自尊心が低ければ、鏡に映る自分を肯定的に受け止めることはできません。自分を美しいと感じるには、自身の本当の欲求と調和し、ありのままの自分を受け入れる必要があります。多くの美容的な悩みは、実際には低い自己評価に起因しているのです。
否定的な思考は、自己否定と自信喪失の悪循環に陥らせます。こうした感情は制限的な思い込みによって深く根付いており、エネルギー面にも現れます。
EFTの効果
EFTの学びを通じて、クライアントの人生や身体との関係、自己イメージ、性格を理解し、安心できる場をつくることで、外見や社会的イメージに結びついた否定感情を解放することが可能です。このアプローチは思考のシステムを再プログラムし、クライアントは自信を取り戻し、自分を完全に受け入れるようになります。その内面的な充実感は外見にも表れます。
クライアント事例に学ぶEFT活用と自己イメージ改善
クライアントとの対話 信頼と打ち明け
まずEFTの認定施術者として、クライアントの美容やスリミング、ウェルビーイングに関わる感情的ブロックやトラウマを特定し、評価することが必要です。積極的で思いやりのある傾聴を通じて、信頼と安心の場が生まれ、クライアントのニーズや不均衡が明らかになります。これを基に、クライアント自身も繰り返し実践できるタッピングの回路を構築します。
ラウンドの流れ
タッピングは「ラウンド」と呼ばれる流れに沿って行います。一般的に、頭頂部から眉頭、鼻の下、あご、鎖骨の位置を経て再び頭頂部に戻るという9つのポイントを繰り返し刺激します。指先の腹を使ってそれぞれのポイントに優しく圧を加えます。
なぜラウンドなのか
「ラウンド」という言葉は、常に同じ始点に戻るタッピングの繰り返しサイクルを意味します。これによりプロセスの統合が促進され、感情的緊張が徐々に解放されます。
ラウンドは通常3回行われます。感情が依然として残る場合は、さらにラウンドを追加します。
ラウンドのポイント
実際には3〜8ラウンドが行われ、サイクルを尊重します。この実践は心理学・感情と鍼灸経絡のつながりに基づいており、鍼灸には約2000のツボがあります。その中でも特にストレス管理や感情調整に効果的で覚えやすいポイントが選ばれています。
タッピングとアファメーション
各タッピングにはアファメーションを伴います。たとえば「たとえ私がこの問題(クライアントの課題)を抱えていても、私は自分を受け入れ、この感情を受け入れます」といった言葉です。クライアントは鏡を見ながら、または自分の姿を想像しながら行います。セッションはおよそ1時間です。
タッピングラウンドのマッピング
一般的に9つのポイントで構成されており、感情に働きかけるうえで特に効果的とされています。
- カラテポイント:小指側の手刀部分にある柔らかい部位。ここで行うタッピングは準備のフレーズを導入します。例:「たとえ私がこの問題(クライアントのトラブルやトラウマ、感情)を抱えていても、私は自分を受け入れ、この感情を受け入れます」。このポイントでは自己不信や判断力不足を扱います。
- 頭頂部:勇気を失う感覚や前進への恐怖を解放します。
- 眉頭(鼻の付け根部分):恐怖の受け止め方を改善し、疑念や嫉妬心を和らげます。
- 目尻:無気力、無関心、決断力の欠如、不公平感を解放します。
- 目の下:疑念や混乱、失望感を軽減します。
- 上唇中央(キューピッドの弓の中央):恥や内向的な感覚を解放します。
- あごのくぼみ:過去のトラウマや疲労からの解放を促します。
- 鎖骨のポイント:「緊急ポイント」とも呼ばれ、強い感情が湧き上がったときにタッピングすることで落ち着きを取り戻す助けとなります。不安定感、未知への恐れ、ストレス、不安や心配を解放します。
- 脇の下:このポイントを刺激することで、恨みや郷愁、反芻的な思考や心配事から解放されます。
クライアントを自立へ導く
問題が正しく特定され、ラウンドのプロトコルとアファメーションが定まった後は、EFTはクライアントが自分自身で実践する必要があります。セッションの効果を持続させ、最適化するためには、日常の中で自主的にラウンドを行えるようにし、クライアント自身がウェルビーイングの主体となることが重要です。そのため、タッピングの回路を図や動画で示し、実践頻度を含めたEFTプログラムを提供することが求められます。
TechniHomeSpaのクライアント事例
テーマ:スリミング/自己イメージ
Jennyはスリミングプログラムの一環として、更年期前のクライアント、X夫人を担当しました。彼女は「周囲からはサイズダウンが明らかだと言われても、自分では成果を実感できない」と話していました。この状態がストレスの原因となっていたのです。Jennyは、問題が単なる体重や体型の問題ではなく、年齢や人生の変化に伴う身体の変化を受け入れられないという、より深い自己イメージの問題であると理解しました。
Jennyは面談を行い、体重増加による連鎖的なストレスを解放し、自分の姿を受け入れ愛せるようになるためのタッピングラウンドを組み立てました。
タッピングセッションの流れ
セッションでは、クライアントが自分の姿を観察し、気に入らない部分(体重増加、腹部のふくらみなど)を口に出します。そして、自分の反応を感情的な強度として1から10の尺度で自己分析します(例:「痩せられないことへの挫折感 8/10」など)。
その後、異なるアファメーションを伴う3ラウンドのタッピングを行いました。
このプロトコルは、Jennyがスリミングサポートの一環として作成したEFT手法の一部です。基本的にはラウンドを中心に行われます。
現在、X夫人は再び鏡を見ることができ、自分の映し出された姿を受け入れ、楽しめるようになっています。