「我が社の生薬配合化粧品ビジネス」【7】第一三共ヘルスケア 発毛促進成分と生薬で育毛処方実現(下)
2015.06.9
編集部
第一三共ヘルスケアの育毛剤の社内推進体制は、研究開発部研究センターが基盤技術、成分開発などを担当。同部開発企画グループが商品企画を担当。販売は、営業統括部が担当する布陣となっている。製造については、OEM委託している。
新製品のカロヤンプログレシリーズの機能性を見る上で欠かせないのが有効成分「カルプロニウム塩化物水和物」と生薬の働きである。
同社は、発毛促進成分「カルプロニウム塩化物水和物」について「ジェット噴射タイプのカロヤンジェットやローションタイプのカロヤンアポジカG、カロヤンアポジカΣ+、カロヤンガッシュなどのカロヤンシリーズに主成分として配合し、商品化を図ってきた」という。
カルプロニウム塩化物水和物は、もともと第一製薬が創製し、脱毛効果や安全性が確保できるかを見極めるために、大規模な臨床試験を実施。臨床試験は、北海道から九州まで41の医療機関で、849名に対して行った。その結果、局所血管拡張作用と血流増加作用を示し、優れた発毛効果があることが認められ、1968年に医薬品として承認された。
カルプロニウム塩化物水和物の特徴である血管拡張作用と血流促進作用に関するマウスを使った試験では、カルプロニウム塩化物を塗ると通常の1.2~1.5倍に血流量が増えることが判明。また、血管の拡張試験では、皮膚から吸収されたカルプロニウム塩化物が血管の内側表面にある細胞に働きかけ、その細胞から一酸化窒素(NO)を作り出すことを解明。NOは、血管の筋肉(血管平滑筋)に作用すると筋肉を弛緩させる結果、血管が拡張し、血流が増えることを証明した。カルプロニウム塩化物水和物の血管拡張作用と血流促進作用のエビデンスを図に示す。
カロヤンプログレシリーズの有効成分は、カルプロニウム塩化物だけではない。毛根の細胞を活性化し発毛を促進する「チクセツニンジン」や皮脂分泌に働きかけることで、発毛をサポートする「カシュウ」などの生薬も配合されている。
カシュウは、皮脂腺からの余分な脂の分泌を抑えるとともに、毛根の余分な脂を取り除くことで発毛を促進する。
こうした主成分カルプロニウム塩化物水和物に生薬成分を加えることで、育毛ブランドの「カロヤン」は、頭皮の発毛環境を総合的に整える処方になっている点が最大の特徴といえる。
同社では「カロヤンプログレシリーズを契機にして今まで以上に、薄毛や抜け毛に悩む人々を支える製品作りを行う。引き続き、育毛の新たな挑戦と進化に取り組んで行きたい」としている。