【連載】化粧品各社のイノベーション研究【14】ミルボン③~新5ヵ年計画でグローバル化加速、アジアN01、世界トップ5入り目指す~

2016.03.4

特集

編集部

ミルボンは、前中期5ヵ年経営計画(2010年から2014年)に続いて、新中期5ヵ年経営計画(2015年12月期から2019年12月期)を推進中。同5ヵ年計画では、国際化・グローバル化をさらに加速し、ヘアケア化粧品プロユース市場で、アジアナンバーワン、世界ベスト5入りを目指す。

タイ工場外観前中期計画では、日本で培ったサロンに対する営業・教育支援をアジア地域中心に展開。また、アジアの供給ハブと位置づけるタイ工場(写真)を建設し、稼働させるなど海外11拠点(米国、中国、韓国、タイに100%の子会社4社設立。ベトナム、マレーシアなど7駐在事務所開設)のネットワーク網を構築した。

前中期計画の中で2013年12月に建設・稼働したタイ工場は、ヘアカラー、サロントリートメント、パーマ剤などを海外拠点に供給するハブ工場として大きな役割を担っている。
特に、アジア圏市場で日本ブランドの毛髪化粧品は、ブランドの価値が一般的に高い。このため、タイ工場は、高品質の業務用毛髪化粧品を中心に生産している。また、中国、アジア地域などで、サロンが一般顧客に販売するシャンプーやスタイリング剤などは、日本から輸出して販売している。

こうした市場戦略が奏功して、目標として掲げた売上高250億円、海外売上比率10.4%を達成した。しかし、本業での儲けを示す営業利益は、グローバル展開に伴うコストプッシュ要因などから、目標に対して4億2500万円の未達となった。

現在、推進中の新中期5ヵ年経営計画では、最終年度の2019年12月期に売上高350億円(国内285億円、海外65億円)、営業利益70億円、海外売上比率18.6%達成を目指す。

こうした目標を達成するためのグローバルイノベーション施策として、将来の経営を担う人材を育成し、現地化に根差した製品開発と営業活動を継続して展開する。
また、エリアビジョンとして東南アジアリージョン(地域)では、グローバル財務戦略と合わせて昨年の生産実績が金額ベースで、約3億円に達したタイ工場稼働に続く新たな成長の基盤作りに取り組む。欧米リージョンは、代理店制へのビジネスモデルの転換による欧州進出機会の創出を図るなどの戦略を講じる。

同社が成長エンジンを国内から海外へ切り替えるグローバル戦略に打って出たのは、長期的に見た場合、国内市場がマイナス成長市場となることへの危惧が背景にある。

果たして国際化というイノベーション(変革)に自ら積極果敢に挑戦し、日本流のサロンビジネスを根付かせてアジアナンバーワン、世界5入りを目指すグローバル戦略が功を奏するか、今後の展開が大きく注目されるところだ。

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